厚生労働省は16日、今冬に流行しているAソ連型のインフルエンザウイルスで、インフルエンザ治療薬「タミフル」が効かない耐性を持つタイプが高い割合で見つかったと発表した。全国11都道府県で患者から見つかった検体のうち97%が耐性だった。インフルエンザの治療薬は他にもあるが、同省は全国の医療機関に注意を呼びかける考えだ。
人間がかかるインフルエンザウイルスは主に「A香港型」「Aソ連型」「B型」の三種類あり、Aソ連型は今冬に検出されたインフルエンザ全体の36%を占める。
耐性ウイルスが検出されたのは、8日までに国立感染症研究所にウイルスの検体を提出した北海道、東京都、大阪府、宮城、千葉、静岡、三重、滋賀、兵庫、広島、山口各県の11都道府県。インフルエンザに感染した患者から集めた35件のウイルスを調べたところ、34件が耐性だった。残る府県も今後、調査する。同省は研究班を設置し、耐性ウイルス患者の症状などの調査に乗り出す方針だ。
タミフルに耐性があるAソ連型ウイルスは昨冬に欧州で出現し、すでに米国やアフリカなど各地で検出されている。昨冬も日本で検出されたが、耐性の割合は2.6%にとどまっていた。
A香港型とB型には、現時点ではタミフル耐性は確認されていない。またタミフル耐性のあるAソ連型ウイルスも、タミフルに次いで広く利用されている治療薬の「リレンザ」は有効。予防目的で摂取するワクチンの効果にも影響はないという。
国立感染研の集計によると、今冬は15日までに671件のインフルエンザウイルスを検出。A香港型が45%を占めて最も多く、Aソ連型は36%で二番目。B型は19%だった。 |