健康情報
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2008年/2009年
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前立腺がんを予防か
緑茶 一日5杯以上 進行リスク半減

 緑茶を一日平均5杯以上飲む男性は、一杯未満の人に比べ、進行性の前立腺がんになるリスクが約半分になるとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が19日は発表した。一杯は約150ccという。

 がんが前立腺内にとどまる「限局がん」については、緑茶飲用との関連は見られなかった。進行がんだけに影響した理由は不明だが、緑茶に含まれるカテキンと言う物質に、がんが広がるのに関係する物質を押さえる効果があることに関係しているらしい。

 調査は岩手、大阪など全国9府県の40-69歳の男性約5万人が対象。平均12年の追跡期間中に404人が前立腺がんになり、うち114人が前立腺を超えて広がる進行性がんだった。

 進行性前立腺がんになるリスクは、緑茶を飲む量が多い人ほど小さいと言う結果で、一日平均1杯未満の人のリスクを1とすると、5杯以上の人は0.52だった。

 研究班はこのほか、男女約13万人を対象に実施した、胆石と胆道がんに関する疫学調査結果も発表。それによると、胆石を患ったことがある人はない人と比べ、胆道がんになる危険度が2.5倍になることが分かった。

 県立大大学院の伊勢村護客員教授は「緑茶の持つがん抑制作用を裏付けた貴重な資料の一つになる」と評価する。米国でカテキン類によるがんの予防や抑制に関する研究が進められ、動物実験や細胞レベルで成果が発表されていることなどを挙げ、「(研究班の発表は」こうした外国での研究結果に沿った内容とも言える」と述べた。

平成19年12月19日 静岡新聞


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中一「うつ」10.7%
北大調査 小4-中1は4.2%

  小学4年-中学1年の一般児童・生徒738人に、医師が面接して診断した北海道大研究チームの調査で、うつ病とそううつ病の有病率が計4.2%に上ったことが8日分かった。コレまで質問紙を郵送する方式では例があるが、医師が面接する大規模な疫学調査は国内初という。

 夕病いるてゃ、中学一年(総数122人)に限ると10.7%に上った。研究チームの伝田健三・北大大学院准教授(精神医学)は「これほど高いとは驚きだ。これまでこどもの欝は見過ごされてきたが、自殺との関係も深く、対策を真剣に考えていく必要がある」としている。

 調査は今年4-9月に北海道内の小学4年生から中学までの児童、生徒計738人(男子382人、女子356人)を対象に実施。調査への協力が得られた小学校8校、中学校2校にそれぞれ4-6人の精神科医が出向き問診、小児・思春期用の基準などに基づき診断した。それによると、軽症のものも含めうつ病と診断されたのは全体の3.1%、そううつ病が1.1%。

 学年別に見ると、小学4年で1.6%、同5年で2.1%、同6年4.2%と学年が上がるほど割合が、高くなった。

 就寝・起床時間や一日のうちに外で遊ぶ時間、テレビ視聴時間、ゲームをする時間、朝食を摂るかどうか、など生活スタイルについてもたずねたが、分析の結果、関連は見られなかった。

 これとは別に、高機能自閉症などの「高機能広汎性発達障害」や、注意欠陥多動性障害(ADHD)が疑われたケースが2.6%あったが、日常生活や発達歴に関する情報がないため明確な診断には至らなかった。

 うつ病やそううつ病と診断された児童、生徒の親らには、症状に応じて医療機関への受診を勧めるなどしたという。調査結果は12日から徳島市で開かれる日本精神科診断学会と、30日から盛岡市で開かれる日本児童青年精神医学会で発表する。

平成19年12月14日 静岡新聞


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油脂使わず“米パン”
静岡文芸大米屋教授ら
健康志向派狙い開発

 米粉を使ったパンの共同開発をしている静岡文化芸術大学の米屋武文教授と石渡食品(三島市、石渡浩二社長)は、油脂を使わず米粉でパンを作ることに成功しこのほど、同大で試食会を開いた。

 通常の小麦のパンには油脂が入っていて、“健康志向派”にはバターと一緒に食べると油が多いと感じる人もいる。ご飯はパンよりも油脂の摂取量が少なくて済むことから、米屋教授らは米粉のパンも油脂をいれずに作ろうと試みた。油脂の代わりにパンに水分を多く含ませ、ぱさつきを解消した。

 試食会では、具や形の異なる5種類の米パンを学生らが食べ比べた。油脂だけでなく、小麦に含まれるつなぎ成分「グルテン」の代わりになる増粘多糖類も加えず、米そのものの粘り気を生かして作った米粉パンが試食会で人気を集めた。

 米屋教授らは、輸入小麦に頼らず米からパンを作ることで、米の消費拡大を目指している。同教授は「添加物や油脂がなく体に優しいので、将来は病院などで扱ってもらえたら」と話した。

平成19年10月9日 静岡新聞


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電磁波対策の法整備を
WHO、初の国際指針
白血病と関連否定できず

 電子レンジなど電化製品や高圧送電線が出す調停集は電磁波の人体影響について、世界保健機構(WHO)が「小児白血病発症との関連が否定できない」として、各国に対策法の整備など予防的な措置をとることを求める勧告を盛り込んだ「環境保健基準」を17日までにまとめた。電磁波の長期的な健康影響についての初の国際指針で、18日にも公開する。

 WHOは、具体的な規制値は示さなかったものの、日本や米国などでの疫学調査から「常時平均0.3-0.4マイクロテスラ以上の電磁波にさらされていると小児白血病の発症率が2倍になる」との研究結果を支持。「電磁波と健康被害の直接の因果関係は認められないが、関連は否定できず、予防的な対策が必要だ」と結論付けた。

 経済産業省は、今月、作業班を設置して送電線周辺の超低周波磁界規制の検討を始めたばかり。電磁波の人体影響に対策を迫られることになる。

※超低周波電磁波
高圧伝染やパソコン、ドライヤー、電気かみそり、電磁調理器などの電化製品から出る周波数が300ヘルツ以下、周波が1000キロ以上の電磁波。健康影響への懸念から最近では、電磁波をカットした電化製品も実用化されている。高圧電線から数メートル以内、電気カーペットから90センチ以内だと白血病との関連が指摘された0.4マイクロテスラ以上の電磁波を浴びるとされ、日本では15歳未満のこどもの1.9%の居住場所が平均磁界0.4マイクロテスラ以上だとする研究結果が出ている。

平成19年6月18日 静岡新聞


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平均寿命静岡「男性6位79.35歳・女性16位86.06歳」
05年1位長野(男性)、沖縄(女性)

 平均寿命がもっとも長い都道府県は、男性は長野で79.84歳、女性は沖縄で86.88歳であることが17日、厚生労働省が公表した「2005年都道府県別生命表」で分かった。静岡県は男性が79.35歳で全国6位、女性は86.06歳で全国16位だった。

 都道府県別生命表は1965年から5年ごとに作成され、今回が9回目。長野の男性は90年から4回連続沖縄の女性は75年から6回連続のトップ。最下位は男女とも青森(男性76.27歳、女性84.80歳)だった。2000年の前回調査では、静岡県の男性は78.15歳、女性は84.95歳。今回調査では本県を含め、すべての都道府県で平均寿命は延びた。本県は06年から「ふじのくに長寿社会安心プラン」を策定し、健康長寿日本一に向けた取り組みを進めている。

 男性の2位は滋賀(79.60歳)で、以下神奈川、福井、東京の順。女性の2位は島根(86.57歳)で、熊本、岡山、長野と続いた。長野は女性も5位で男女とも長寿ぶりが目立った。女性でトップの沖縄は、男性が25位にとどまった。 

 青森の男性は7回連続、女性は2回連続最下位。男性は宇津井手秋田、岩手、高知、鹿児島。女性は栃木、秋田、茨城の順だった。

 2000年からの5年間で、平均寿命の延びがもっとも大きかったのは、男性は滋賀と岡山で、1.41歳、女性は大分と鳥取の1.36歳だった。

 男性で前回15位だった東京は、今回5位と大幅に上昇。このほか順位が大きく変わったのは、男性の佐賀(前回44位から32位)、岡山(同21位から11位)、女性の大分(同25位から15位)だった。

 生命表は、出生や死亡に関する統計データを基に「平均寿命」を算出したもの。ゼロ歳児の平均余命が平均寿命を意味する。厚労省は毎年、日本人全体の「簡易生命表」を公表。06年の寿命は、女性が85.81歳と世界1位、男性は79.00歳で同2位だった。

上位
1
2
3
4
5
長 野 79.84
滋 賀 79.60
神奈川 79.52
福 井 79.47
東 京 79.36 
1
2
3
4
5
沖 縄 86.88
島 根 86.57
熊 本 86.54
岡 山 86.49
長 野 86.48
6
静 岡 79.35
16
静 岡 79.35
下位
43
44
45
46
47
鹿児島 77.97
高 知 77.93
岩手 77.81
秋田 77.44
青森 76.27
43
44
45
46
47
茨城 85.26
大阪 85.20
秋田 85.19
栃木 85.03
青森 84.80

 

平成19年12月18日 静岡新聞


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小学生12%に鼻疾患
ぜんそくも過去最高

 

花粉症などのアレルギー性鼻炎や蓄膿(ちくのう)症といった「鼻・副鼻腔(びくう)疾患」にかかっている小学生の割合は12.0%で、中高生や幼稚園児とともに過去最高の割合となったことが13日、文部科学省が実施した本年度の学校保健統計調査速報で分かった。

 文科省は「アレルギー情報が一般的になり、これまで風邪と思っていたものがアレルギーと分かったケースもあると考えられ、実際にどこまで増えたのか把握しにくい」としている。

 調査では、他の鼻・副鼻腔疾患の割合は中学生11.1%、高校生8.4%、幼稚園児3.7%で、小学生も含め前年度比の0.1-0.4ポイント増。

 ぜんそくの小学生は3.9%、中学生3.1%、高校生1.8%で、いずれも前年度比0.1-0.2ポイント増えて過去最高。幼稚園児は0.2ポイント減の2.2%だった。

 成長期の体格を親の世代と比べると、今の高三男子がもっとも身長が伸びたり、体重が増えたりしていたのは小六のときなのに対し、30年前の高三男子は中一のときだった。

 同様に、今の高三女子の場合は小四から小五にかけてだが、30年前の高三女子は小五から小六のときとなっており、成長期が男女とも一年ほど早まっている傾向が出た。身長と体重は前年と横ばいだった。

平成19年12月14日 静岡新聞


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「敬老の日」調査 高齢者人口21.5%
80歳以上が700万人突破

 「敬老の日」に合わせて総務省が16日に発表した統計調査結果によると、今月15日現在の65歳以上の高齢者人口は、去年より87万人増えて2744万人となり、総人口に占める割合は0.7ポイント上がって21.5%に達した。80歳以上の人口は初めて700万人を突破。

 高齢者人口は、2005年国勢調査を基に推計。男女別では、男性は1169万人で男性人口全体の18.8%、女性は1575万人で24.1%を占めた。

 年齢別の分類では、80歳以上は去年より39万人増え、全体の5.6%の703万人。このうち女性は478万人で、男性のほぼ2倍となった。高齢者の就業も年々増え続け、06年は510万人に達した。都道府県別の内訳は発表していない。

平成19年9月17日 静岡新聞


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新種汚染物質 日本人の母乳に蓄積
摂南大分析 世界の魚にも

 毒性が強く地球規模での環境汚染が問題になったぽり塩化ビフェニール(PCB)に構造や毒性がよく似た臭素系化合物が日本人の母乳中に蓄積していることが摂南大薬学部などのグループによる5日までの分析で判明。都内で開催中のダイオキシン2007国際会議で発表した。この物質は、国のダイオキシン類対策特別法の対象物質コプラナーPCBに含まれる塩素の一部が臭素に置き換わった物質。「塩素・臭素化コプラナーPCB(コプラナーPXB)」と呼ばれ、新たな汚染物質として注目されている。

 グループの太田壮一摂南大准教授は「この物質による人体汚染の確認は世界初。世界各地の魚の汚染も確認され人体汚染は魚を食べることが原因と見られる。今後、人間への影響評価や発生源の解明が急務だ」と指摘している。

 グループは、国内の21―33歳の母親7人の母乳を分析。毒性がもっとも強いダイオキシンに換算して評価した毒性換算値(TEQ)で、脂肪1グラム当たり0.42-1.41ピコブラム(ピコは一兆分の一)のコプラナーPXBを検出した。国内で売られていた世界各国や日本周辺の魚、南極海のミンククジラの肉などにコプラナーPXBが含まれることも判明した。

 コプラナーPXBはこれまで毒性評価の対象になっていないが、研究グループは、毒性はPCBに匹敵すると考えられると指摘している。

平成19年9月6日 静岡新聞


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人間ドック「異常なし」最低11.4%
肝機能障害目立つ

 日本人間ドック学会(奈良昌治理事長)は24日、2006年に人間ドックを受けた人のうち、検査項目に以上がなかったのは11.4%と、学会が集計を始めた1984年以来、最低だったと発表した。

 これまでの最低記録は04年、05年の12.3%だった。集計対象は、同学会などが指定する約800施設で人間ドックを受診した約295万人。「異常なし」は約33万にとどまった。

 異常があった項目では食生活や運動など生活習慣に関連が深いものが目立ち、肝機能障害が26.2%と最多。高コレステロール(25.4%)、肥満(24.4%)、高血圧(15.9%)と続き、前年と比べほぼ横ばいか増加傾向を示した。

 同学会は、外食産業やコンビニの普及により、食物に占める脂肪の割合が増えたことや、サラリーマンのリストラなどによるストレスが生活習慣を悪化させていることが理由と指摘。集計した牧田総合病院付属健診センター(東京都大田区)の笹森典雄院長は「意識して生活習慣を変える工夫が大事だ」としている。

 がんが発見されたのは6817件。胃がんは前年と同水準で、大腸がんと肺がんの割合がわずかに減少したのに対し、「その他のガン」が微増。前立腺がんと乳がんの増加が理由という。

平成19年8月25日 静岡新聞


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女性の寿命 85.81歳
22年連続で世界一 男性は79.00歳 2位

2006年の日本人女性の平均寿命は85.81歳で、22年連続で長寿世界一になったことが26日、厚生労働省が公表した簡易生命表でわかった。男性は79.00歳で05年の世界4位から04年と同じ2位に順位を戻した。

 05年はインフルエンザの流行で男女とも前年を下回ったが、06年は再び伸び、2年ぶりに過去最高を更新した。厚労省は、日本人の三大死因である、がん、心臓病、脳卒中の治療成績向上が主な要因と分析。「平均寿命は今後も延びていくと見込まれる」としている。

 厚労省によると、平均寿命は、05年に比べて女性は0.29歳、男性は0.44歳延びた。男女差は0.15歳縮まり、6.81歳。国際比では女性の2位は香港の84.6歳(05年)で、次いでスペインとスイスの83.9歳(05年)。男性の1位は、アイスランドの79.4歳で、3位は香港の78.8歳。

 06年生まれの赤ちゃんが何歳まで生きるかの試算では、75歳まで生きる人の割合は男性70.3%、女性85.5%。90歳まで生きる人の割合は男性20.6%、女性43.9%だった。ゼロ歳児が、将来死亡する原因として最も可能性が高いのは男女ともがん。

 日本人の平均寿命は一貫して延びる傾向で、平成以降で男女とも前年を下回ったのは、阪神大震災が起きた1995年と、インフルエンザが流行した99年、05年だけとなっている。

平成19年7月27日 静岡新聞

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喫煙で余命3.5年短縮
本数多いほど影響大

 タバコを吸っている男性の40歳時点の平均余命は、吸わない男性より3.5年短い。

厚生労働省研究班(主任研究者・上島弘嗣滋賀医大教授)が24日までに、30歳以上の男女約1万人を対象とした追跡調査を基に、こんな推計をまとめた。

 1日2箱以上数男性の余命は、1箱未満よりも0.9年短く、ヘビースモーカーほど短命の傾向がうかがえるという。喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは広く知られているが、タバコの影響を余命で示したのは国内初の試みという。

 推計の根拠としたのは、1980年に全国300箇所の保健所で健康診断を受けた30歳以上の男女のうち、計9625人(男性4237人、女性5388人)に対する追跡調査。このうち99年までに死亡した約2000人の喫煙者の有無や、年齢別の死亡率などを基に全調査対象者の平均余命をはじき出した。

 それによると、健診時にタバコを吸っていた男性は2666人(喫煙率・約63%)で、40歳の平均余命は38.6年。残る男性のうちもともと吸っていなかった777人については42.1年で3.5年長かった。

 以前はすっていたが健診時に禁煙していた794人の余命は40.4年。男性喫煙者のうち1日の本数が「1箱未満」の40歳の平均余命は39.0年、1-2箱は38.8年、2箱以上は38.1年と、本数が多くなるほど余命が短くなる傾向がうかがえた。

 女性の喫煙者は約9%で喫煙者(476人)の40歳の平均余命は43.4年。非喫煙者(4793人)は45.6年と、2.2年の差があった。

 研究班の村上義孝滋賀医大特任講師は「男性の場合、喫煙が平均余命に影響していることは明らかといえる。女性の同様な傾向が見られたが、調査開始時点での喫煙率が低く明言できない」としている。

平成19年7月24日 静岡新聞


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女性の寿命 85.81歳
22年連続で世界一 男性は79.00歳 2位

2006年の日本人女性の平均寿命は85.81歳で、22年連続で長寿世界一になったことが26日、厚生労働省が公表した簡易生命表でわかった。男性は79.00歳で05年の世界4位から04年と同じ2位に順位を戻した。

 05年はインフルエンザの流行で男女とも前年を下回ったが、06年は再び伸び、2年ぶりに過去最高を更新した。厚労省は、日本人の三大死因である、がん、心臓病、脳卒中の治療成績向上が主な要因と分析。「平均寿命は今後も延びていくと見込まれる」としている。

 厚労省によると、平均寿命は、05年に比べて女性は0.29歳、男性は0.44歳延びた。男女差は0.15歳縮まり、6.81歳。国際比では女性の2位は香港の84.6歳(05年)で、次いでスペインとスイスの83.9歳(05年)。男性の1位は、アイスランドの79.4歳で、3位は香港の78.8歳。

 06年生まれの赤ちゃんが何歳まで生きるかの試算では、75歳まで生きる人の割合は男性70.3%、女性85.5%。90歳まで生きる人の割合は男性20.6%、女性43.9%だった。ゼロ歳児が、将来死亡する原因として最も可能性が高いのは男女ともがん。

 日本人の平均寿命は一貫して延びる傾向で、平成以降で男女とも前年を下回ったのは、阪神大震災が起きた1995年と、インフルエンザが流行した99年、05年だけとなっている。

平成19年7月27日 静岡新聞


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中国産魚介に抗菌剤
動物に発がん性 米、輸入を停止

 28日、中国産の魚介類から、動物に対して発がん性があるなどの理由で米国内で使用が禁止されている微量の抗菌剤が見つかったとして、えびやうなぎなど5種類の中国産魚介類の輸入を一時停止すると発表した。

 健康被害は出ていないという。抗菌剤に汚染されていないことを輸入業者が証明した魚介類に限り、輸入を認める。

 今年3月にペットフードで発覚した中国製品の有害物質汚染は、練り歯磨き、医薬品、おもちゃなどから一般食品まで拡大した。大量の食品を中国から輸入している日本にも影響がでそうだ。

FDAによると、輸入を停止したのは、ほかにナマズ、バサと呼ばれるナマズの仲間、コイ科の魚。

平成19年6月29日 静岡新聞


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タミフル、尿から川へ
大量使用英研究警告  鳥体内で耐性化も

 新型インフルエンザが大流行して抗ウイルス薬タミフルが大量に使用されると、尿に排出された薬の成分が河川の水を介して野鳥の体内に入り込み、タミフルが効かない耐性ウイルスが生じる恐れがあるとする研究を、英国の研究チームが2日までにまとめた。

 一つの薬ばかりを使うと人の体内で耐性ウイルスができ、広がる恐れがあるのは分かっていたが、環境中でもリスクがあることを示した形だ。

 チームのアンドリュー・シンガー英生態学・水文学センター主席研究員は「し尿処理段階で薬剤成分を不活性化するなどの対策を講じるべきだ」と指摘している。

 チームは、英国と米国の16地域の下水処理網について、大流行時にタミフル成分を大量に含む下水が生じた場合を試算。その結果、英ロンドン周辺や米コロラド川流域などでは、河川水1リットル中に30マイクログラムの超の薬剤成分が含まれ、こうした高濃度の状態が2-3週間続くことが分かった。

平成19年6月2日 静岡新聞


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中高年のメタボリック症候群
男性の半数「危険」

 厚生労働省が16日公表した2005年国民健康・栄養調査で40-74歳中高年男性、2人に1人、女性の5人に1人がメタボリック症候群の該当者か予備軍であることが分かった。昨年はじめて公表した04年の調査結果と同じ傾向で、厚労省は、生活習慣病につながる恐れがあるとして注意を呼びかけている。

 厚労省によると、40-74歳の男性の該当者は0.4ポイント減の25.5%で、予備軍を含めると50.5%。同年代の女性は0.2ポイント増の10.3%で、予備軍を含めると19.8%。厚労省は男女合わせて40-74歳の該当者は焼く920万人、予備軍も合わせて約980万人と推定している。

 参考として公表した06年の速報値でも、中高年の該当者と予備軍の合計は男性51.4%、女性20.3%で同様だった。

 厚労省は、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、さらに高脂血、高血圧、高血糖の2つ以上に当てはまると、メタボリック症候群の該当者、一つの場合は予備軍としている。

平成19年5月17日 静岡新聞


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朝食「子供だけ」4割
小中学生全国調査 だんらん意識薄らぐ

 小中学生の約4割が朝食を親と一緒にとらずに、一人か、きょうだいだけで食べていることが16日、厚生労働省の「2005年国民健康・栄養調査」で分かった。

 このうち小学1-3年生は、同様の調査をした1993年の27.4%から40.9%と約1.5倍になった。厚労省は「共働きの家庭の増加などで、親に『職位jは家族のだんらん』という意識が薄らいでいるためではないか。子供の栄養バランスが偏る恐れがある」と懸念を示している。

 調査は05年11月、全国3588世帯を対象に実施。子供の食習慣については、小中学生計847人の親から回答を得た。

 子供の普段の朝食について90%以上が「毎日食べる」と回答。「子供だけで食べる」は小学1-3年生(305人)が40.9%で、93年度調査から13.5ポイント増。4-6年生(309人)は40.3%で7.7ポイント増、中学生(233人)は42.5%で0.4ポイント増だった。

 このうち子供が一人だけで食べているのは小学1-3年生で13.5%、4-6年生で11.7%、中学生25.3%。それ以外は「兄弟でたべている」だった。

 夕食の時間は、午後6-7時が9.4ポイント減の49.3%で、午後7-8時は4.6ポイント増の39.1%。93年は1.7%だった午後8時以降が7.1%に増加し、食事時間が遅くなっている傾向が出ている。子供の食習慣を「改善したい」は57.2%。「副菜(野菜)を十分食べる」「菓子や甘い飲み物をほどほどに」などの声が多かった。

親も子も忙しい
静岡大の馬居政幸教授(教育社会学)教授の話

親も子も忙しくなり、食事の時間があわなくなってきているのではないか。 家族団らんの習慣がなくなりつつある上に、親は労働状況がきつくなっている。都市部では子供が遠くの学校まで時間をかけて通うケースも多い。朝は家族みんなが時間に追われ、「戦争状態」なのだろう。子供が夜更かしをして生活習慣に乱れが出ている可能性もある。食事は栄養を取ることだけが目的ではなく、親子のコミュニケーションの一つ。一緒に食べるのは無理でも、誰かが近くにいたり、声をかけたりすることが必要だ。

平成19年5月17日 静岡新聞


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トランス脂肪酸 スタバ使用禁止
北米全店で年内に

 【ニューヨーク7日共同】
米コーヒーチェーン大手スターバックスは7日、米国とカナダの全店舗約1万500店で、心臓疾患や肥満との関連が指摘される「トランス脂肪酸」を含む食用油の使用を、年内にやめると発表した。

 北米以外でも使用中止を進め、マフィンやサンドイッチすべてのメニューで、トランス脂肪酸を含まない食品を提供する方針。

 トランス脂肪酸は、ニューヨーク市が昨年12月に原則使用禁止を決めており、飲食店業界などが代替油への切り替えを急いでいる。

平成19年5月8日 静岡新聞


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健康食品に認証マーク
成分届け出義務化も

 健康食品の消費拡大に伴い、製品の安全面に対する関心が高まっていることから、厚生労働省は16日までに、成分基準の新設や認証マークの導入など、安全性確保のための総合的な対策作りに乗り出すことを決めた。

 来月、有識者による検討会を設置。成分の届け出義務化や一日摂取量の目安についても議論し、必要に応じて食品衛生法の改正も検討する。2007年度中に取りまとめる方針だ。 

 健康食品と一般食品とを区別する法的な規定がなく、同省は「何が健康食品なのかという明確な定義はない」としている。安全性については「コレステロールが高めの方に」として許可された製品だけは国が審査しているが、それ以外の製品は、製造・販売業者の責任に委ねられている。

 最近では特定の成分が濃縮されたサプリメント(栄養補助食品)などが増加。因果関係は不明だが、食べた人がカラダの不調を訴えるケースがあり、同省は抜本的な対策が必要と判断した。

※健康食品
栄養分の補給や健康増進などを目的とする食品の総称。法的な定義はなく、ほとんどが通常の食品と同様に流通している。このうち「特定保健用食品」だけは有効性や安全性について国が審査し「おなかの調子を整える」などと表示できる。政府の推計では市場規模は2000年の1.3兆円から10年後には3.2兆円に拡大するとされている。

平成19年4月16日 静岡新聞


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新手の耐性菌広がる
国内病院初の調査 静岡などで検出

 緑膿(りょくのう)菌をはじめとする多くの最近に高い効果を示す「アミノ配糖体」と呼ばれるタイプの抗生物質がことごとく効かない新手の薬剤耐性菌が、国内の医療現場に広がり始めていることが、国立感染症研究所の初の全国調査で10日までに分かった。

 調査の対象の約1割に当たる16病院で検出された。感染研の荒川宣親細菌第二部長は「幸い検出率はまだ低いが、今後厳重に監視していく必要がある」と話している。

 調査は2004年に実施、全国169病院の入院・通院患者から分離された約88000の細菌を調べた。その結果、静岡県など十都道府県の計16病院で分離された26の細菌(検出率0.03%)が、臨床現場で一般的に使われているすべてのアミノ配糖体が効かない高度耐性菌だった。

 アミノ配糖体が効かない細菌は、03年ごろから国内や欧州などで報告され始めた。耐性の秘密は菌が獲得した新型の遺伝子にあり、抗生物質が大量に使われる環境では、この遺伝子が他の細菌にも広がる恐れがある。現時点では、アミノ配糖体以外の薬で治療が可能とみられている。

※薬剤耐性菌
治療薬の効き目が低かったり、まったく効かなかったりする「耐性」を獲得した細菌。医療現場ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や、ほとんどの治療薬が効かない多剤耐性緑膿菌などが問題になっている。免疫力が落ちた入院患者や高齢者が感染すると命取りになることもある。

平成19年4月10日 静岡新聞


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「休肝日」週3日は必要 
死亡リスク1.8倍差

 酒をまったく飲まない「休肝日」が週に2日以下と少ない男性は、3日以上ある人と比べて死亡リスクが最大で1.8倍高いとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が、6日発表した。

 日本酒に換算して週に13合以上とサケ漁が多い人は特にリスクが高かった。研究班の丸亀知美国立がんセンター研究員は「こうした人はまず休刊日を作り、次に酒量を日1-2合程度にまで減らすよう心がけて」と呼びかけている。

 全国八地域で40-69歳の男性約42000人を1990年から2003年まで追跡。飲酒習慣と、病気や事故を含むすべての死亡との関係を調べた結果、酒量多く休肝日が少ないほどリスクが高まる傾向を確認した。週に20合以上飲む人の中では、3日以上の休肝日の有無で死亡リスクに1.8倍の差があった。

平成19年4月6日 静岡新聞


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市中型MRSで死者 
国内初1歳男児 強毒菌に感染

 院内感染でなく、地域や学校での広がりが懸念される「市中型」のメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)のうち、強毒性の菌に感染した関東地方の一歳男児が去年、重い肺炎を起こして死亡していたことが1日分かった。

 市中型MRSAは欧米などで問題化しているが、日本で市中型による死亡例が確認されたのは初めて。専門家は「市中型の中でも強毒菌はまれで、過剰に心配する必要はないが、感染の拡大に備え監視を強めていく必要がある。」としている。

 男児の治療に当たった北里大病院(神奈川県相模原市)によると、男児は発熱や咳などの症状で別の総合病院に入院し、抗生物質の投与などの治療を受けたが様態が悪化。入院から約十日後に死亡、血液などからMRSAが検出された。

 男児にはそれまで入院の経験はなく、菌の遺伝子構造も病院外で感染を広げる市中型と一致。さらに、白血球を壊す毒素を作る強毒菌だったことも判明した。具体的な感染経路は不明という。

 北里大病院小児科の坂東由紀講師は「MRSAに市中型があること自体は知られているが、今回のような強毒菌に遭遇したのは初めて。医療現場でも強毒菌の存在はほとんど認識されておらず、注意喚起していきたい。」と話している。

 MRSAはこれまで、入院患者に広がる院内感染の代表的な原因菌として知られてきたが、近年は病院外での感染も懸念されている。スポーツや集団生活を通じた皮膚接触により感染する可能性があるとされる。

平成19年4月2日 静岡新聞


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タミフル、10代へ処方中止 
新たに異常行動2件

 厚労省は20日、インフルエンザ治療薬「タミフル」の輸入販売元の中外製薬に対し、「重大の患者に対し、原則としてタミフル処方を差し控えるように」と、添付文書を改訂し、緊急安全性情報を医療機関に配布するよう指示した。

 2,3月に新たに2件の異常行動があったことがわかり、「因果関係は明白でないものの注意喚起を呼びかける必要がある」と判断した。 

 添付文書には「十代の患者には、合併症、既往歴などからハイリスク患者と判断される場合を除いて、原則として本剤の使用を差し控えること」と処方中止を記載するよう求めている。

 2件はいずれも12歳男児。タミフル服用後に2階から転落して骨折したという。タミフルをめぐっては2月、愛知県蒲郡市と仙台市で、服用した中学生がマンションから相次いで転落死。厚労省は、患者や家族に異常行動の恐れについて説明するように医療関係者に文書で呼びかけていた。 

※タミフル…インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬。中外製薬がスイスの製薬会社から輸入、2001年に発売した。新型インフルエンザでも発症抑制や重症化防止が期待され、国や都道府県は新型インフルエンザの発生を想定し、備蓄を進めている。インフルエンザ患者が服用後にマンションから転落死するなどの事故が相次ぎ、副作用との指摘もある。

平成19年3月21日 静岡新聞


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「休日に寝だめ」逆効果 
平日差が大きいと→不眠、抑うつ

 普段の寝不足、休日に補えません-。休みの日に遅くまで寝ている人ほど、不眠や抑うつを訴える割合の高いことが17日、働く人を対象とする内村直尚久留米大助教授(精神神経学)の調査でわかった。平日の睡眠時間の短さは、抑うつと強く関連していた。

 同教授は「時間が不規則だと熟眠感が得られない。良い睡眠のためにはできるだけいつも同じ時間に起きることが重要」としている。

 調査は昨年12月、勤労者9000人を対象にインターネットで実施した。それによると、平均睡眠時間は平日6.1時間、休日7.3時間。休日の気象時間が平日より2時間未満遅い人が不眠を自覚する割合は25.9%なのに対し、2-3時間で29.4%、3時間以上で33.3%と、平日との差が大きいほど不眠の人が多かった。 

 抑うつ経験も、2時間未満4.3%、2-3時間5.2%、3時間以上6.2%となった。

平成19年3月17日 静岡新聞


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和食離れや外食増加 
現象の野菜消費量

 野菜の消費が減少傾向をたどっている。農水省によると、1968年に約124キロだった一人当たりの年間消費量は、2005年度に約96キロまで減った。

 同省は、食事の洋風化が進み、野菜をたくさん使う和食離れが進んだことや、利用が増えている外食のメニューに野菜の付け合せが少ないことが要因と見ている。

 ダイコンやキュウリなどは、漬物をあまり食べなくなったため一人当たりの購入量が減少した。一方サラダの人気が高いことから、レタスは徐々に増え、トマトも10年前と比べると伸びた。

 野菜は国内の農産物産出額の約3分の1を占め米と並ぶ国内農業の重要な柱でもある。政府は農業振興と健康の両面で、野菜をもっと食べるよう呼びかけているが、若者たちは野菜を敬遠しがち。農水省は「小中学校での食育を通じて、バランスの取れた食事の大切さを知らせたい」としている。

平成19年3月2日 静岡新聞


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ビタミンCは白内障予防 
食生活で発祥に差 〜厚労省研究班発表〜

 食事を通じてビタミンCを多くとる人は、摂取量の少ない人に比べて老人性白内障にかかりにくいとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が27日発表した。

 老人性白内障は、レンズの役目を果たす目の水晶体が老化に伴って白くにごる病気。ビタミンCは酸化反応を抑えて水晶体タンパクを守る働きがあるとされている。

 欧米でも同様の調査結果はあるが、日本を含むアジア人で予防結果が確かめられたのは初めて。研究班の吉田正雄・杏林大助手は「普段の食事で果実や野菜をバランスよく多めに取るのが効果的」と話している。

 研究班は、岩手、秋田、長野、沖縄の4件で45-64歳の男女約3万5千人を1995年から5年間追跡。白内障にかかった768人と、かからなかった人との食生活を調べたところ、ビタミンCを日本人の平均的な摂取量(一日に110-120ミリグラム)の2倍近くとる人は、半分程度しか取らない人に比べ、男性で35%、女性で41%、白内障になりにくいことが判明した。手術が必要なほど重症化する危険度は、男女とも30%以上低くなっていた。

平成19年2月27日 静岡新聞


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異常行動、日本が9割 
タミフル服用後、関連は不明

 インフルエンザ治療薬タミフルを服用したと見られる中学生が転落死する事故が、今月になって27日までに2件発生した。服用後の異常行動の症例報告数は、国際的にも日本が突出している。これに注目した米食品医薬品局(FDA)が2005年に調査に乗り出したが、薬の服用との因果関係については依然、不明とされている。

 FDAの資料によると、タミフル服用後の異常行動などの精神神経症状は2005年8月から06年7月までに計103件の報告があり、9割以上の95件が日本だった。タミフルが異常の原因となったかどうかについてFDAは06年11月「完全には説明できない」と結論。だが「影響した可能性も否定できない」としている。

平成19年2月28日 静岡新聞


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大腸がんリスク3割減 
運動習慣のある男性

 仕事やスポーツで体を動かす習慣のある男性は、そうでない人に比べ大腸がんのリスクが約30%低下することが20日、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター部長)の大規模疫学調査でわかった。

 研究班は1995年と98年、全国10地域の40-69歳の男女約65000人を対象に普段の運動量を調査。一日のうち、ほとんど体を動かさない時間、立つ、歩くなどの軽い運動に時間、スポーツなど激しい運動の時間をそれぞれ聞いて数値化し、運動量に応じ4つのグループに分けた。

 その後、2002年まで追跡し、それぞれのグループの大腸がん発症数を比較。男性の場合、最も運動量の多いグループは最少のグループよりも大腸がんにかかる割合は3割少なく、結腸がんに限ると4割以上少なかった。一方、女性では差異は見られなかった。

 研究班は「身体活動量を増やすと大腸がんのリスクが低下する傾向が日本人でも裏付けられた。」と指摘。女性の結果については「家事に対する質問が不十分で、女性の身体活動量をうまく評価できなかった可能性がある。」としている。

平成19年2月21日 静岡新聞


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乳がん閉経遅いとリスク増 
厚労省調査 女性ホルモン影響か

 初潮が早い、閉経が遅いなどの女性は乳がんになるリスクが高いことが、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が5万人以上の中高年女性を対象に実施した疫学調査で21日わかった。

 生殖機能にかかわる女性ホルモンには乳がんの増殖を促す作用があり、分泌期間が長いと発症しやすくなるらしい。出産経験のない女性や、閉経後の肥満も高リスクと判明。いずれも欧米の調査と似た結果だった。

 研究班は今後、これらの要因から乳がん発症リスクを算出するシステムの開発を目指す。班員の岩崎基・国立がんセンター室長は「乳がんは女性にもっとも身近ながん。リスク要因を持つ人は検診を受け、早期発見につなげてほしい」としている。

 研究班は1990年から2002年にかけ、全国九府県で40-69歳の女性約55000人を対象に、生理や出産の経験、体格などと乳がんの関係を調べた。

 その結果、初潮年齢が14歳未満の人は、16歳以上の人より約4倍、乳がんになるリスクが高かった

乳がんのリスク要因(厚労省研究班による)

初潮年齢 14歳未満は16歳以上の約4倍
閉経年齢 54歳以上は48歳未満の約2倍
出産経験 未経験は経験者の1.7〜2.2倍
体格指数(BMI) 閉経後に30以上は19未満の2.3倍
身長 160cm以上は148cm未満の1.5〜2.4倍

 

平成19年2月21日 静岡新聞


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外出自粛や交通遮断 
新型インフルエンザ対策
市民生活に制限

 大流行すれば国内で最大約64万人が死亡すると推定される新型インフルエンザ。厚生労働省が19日に公表した指針案は、人から人への感染が起きた場合の対応を示している。さまざまな制限が設けられ、市民生活はどうなるのか-。

 感染防止案として指針案はまず「不要不急の外出」を極力差し控えるよう求めている。患者が発生したら、家族や職場の同僚、同じ市町村の住民に外出自粛を要請することも想定している。

 大勢の人が集まる場所は感染の恐れが高い。学校の臨時休校や地域の集会、行事の自粛のほか、映画館や劇場の営業自粛、さらには流行地域との交通遮断なども感染防止の選択肢となる。

 インフルエンザはライフラインに影響を与える可能性もある。個人や家庭に関しては、災害時と同様に2週間分程度の食料や水、日用品などをあらかじめ準備しておくよう要請。外出が制限、禁止される場合に備え、自治体は食料などを配達する必要も生じる。

 企業では社員の在宅勤務や自宅待機、電話やビデオを利用した会議、事業自体の縮小などの検討も迫られる。過程での感染防止策としては、うがいや手洗いの励行、医療用のマスクの着用が有効。せきやくしゃみをする際にティッシュペーパーで口と鼻を押さえ、人から顔を背けて1m以上離れる「せきエチケット」を心がけることも大切だ。

平成19年1月19日 静岡新聞


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温暖化 加速懸念 
今世紀末 最大6.4度上昇 政府間パネル予測を修正

 【パリ2日共同】地球温暖化に関する世界の研究者らでつくる「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第一作業部会は1日、パリで開かれていた会合で、今世紀末の地球の平均気温は最大6.4度上昇が予想されるなどとする第4次報告書をまとめた。前回2001年の第3次報告書で最大5.8度とされていた予測を上方修正。温暖化が予想を超えるペースで進む懸念が高まった。各国でより強力な温暖化対策を求める声が強まるのは確実だ。

 IPCCは、人間が輩出した二酸化炭素CO2などの温室効果ガスが気温上昇を起こしている「可能性がかなり高い」とし、強く確信できると従来よりも一歩踏み込んだ。温暖化との関連が指摘される異常気象についても「極端な降水や熱波が増えている」とすでに影響が出始めたことを初めて認めた。

 報告書は温暖化に関する科学的な基礎として、各国の政策決定に大きな影響を与える。

 人為的温暖化について第三次報告は、66%より確率が高いことを意味する「可能性が高い」との表現を採用していた。今回の「可能性がかなり高い」は90%より高い確率であることを示す。

 化石エネルギーに依存する社会が続くと、今世紀末には1990年で気温が2.4-6.4度上昇する可能性がある。特別な温暖化対策を取らなくても、環境保全と経済発展が地球規模で両立する社会を実現すると、上昇は1.1-2.9度となる。

 また、CO2濃度の上昇で海の酸性化が進む恐れがあることも新見解として追加、海の生態系への影響が懸念される。夏の北極海の海水が、今世紀後半までに消滅する恐れもある。

平成19年2月2日 静岡新聞


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宮崎の鳥インフルエンザ 
強毒H5N1型確認

 宮崎県清武町の養鶏場「谷口腑卵場黒坂農場」で発生した高病原性鳥インフルエンザのウイルスは、毒性が強く致死率の高いH5N1型であることが16日、動物衛生研究所(茨城県つくば市)の検査で確認された。

 国内でH5N1型の確認は、2004年に山口、京都、大分三府県の養鶏場などで感染が相次いで以来。同型のウイルスは世界的に流行が拡大しており、農水省の感染経究明チームは遺伝子を解析するなどして感染経路の特定を進める。

 インフルエンザウイルスは表面にあるHとNの2種類のタンパク質の組み合わせで型を表す。高病原性のH5型であることは13日に判明していたが、同じH5型でも弱毒性のタイプがあるため、同研究所がさらに詳しく調べていた。

 一方、宮崎県の対策本部は16日、約1万2千羽の鶏の搬出が終わった鶏舎など、黒坂農場の施設全体で防疫作業を実施した。

 県の職員約100人が鶏舎内に残されたふんを除去したり、鶏舎や周辺を消毒したりした。作業は同日中に終わる見込み。対策本部は17日に半径10キロ圏内の16の養鶏場を立ち入り検査。

平成19年1月16日 静岡新聞


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高病原性「H5型」と確認 鳥インフルエンザ
国内の発生5例目 宮崎県 1万2000羽処分へ

 農水省は13日、宮崎県清武町の養鶏場で大量死した鳥の病気を高病原性鳥インフルエンザと発表した。動物衛生研究所(茨城県つくば市)がH5型のA型インフルエンザウイルスと確認した。同省によると、1951年の家畜伝染病予防法施行以来、高病原性鳥インフルの国内での発生は5例目。死んだ鶏はこの日約1400羽増えて計約3800羽になり、鶏舎一つの鶏がほぼ全滅した。宮崎県の対策本部は、半径10キロ以内の16の養鶏場の鶏や卵の移動を禁止。14日には死んだ鶏を含む約1万2000羽の処分を始めるなど、感染拡大の防止に全力を挙げる。

 感染経路は不明で、農水省は疫学調査チームを編成して究明に当たる。対策本部によると、鶏が大量死したのは清武町木原の「谷口腑卵場黒坂農場」。生まれて24週の鶏を飼育していたが、今月7日から3つあるうち一つの鶏舎の鶏が死に始め、10日以降は大量死した。

 動物衛生研究所は引き続き、ウイルスが毒性の強いH5N1型かどうかなど検査を進める。農水省と宮崎県は「鶏肉や卵を食べても人には感染しない」と、冷静な対応を呼びかけている。

 対策本部によると、処分作業は14日朝から150人態勢で進め、二酸化炭素で処分した鶏を消毒して搬出、その後焼却処理する予定。国は家畜伝染病予防法に基づき、鶏の評価額の8割を補償する。記者会見した宮崎県の長友育生農政水産部長は「周囲農場も含めた県独自の補償については今後、検討したい」と話した。

 一方、鶏などの移動を禁止する半径10キロ以内の養鶏場は当初、17ヶ所としていたが、精査の結果16箇所で、鶏は約33万羽だった。

 死んだ鶏が一つの鶏舎に集中し、これまでの聞き取り調査で半径10キロ以内の鶏に以上がないことなどから、農水省や県は今のところ感染拡大の兆候はないとみている。対策本部は、13日午後から養鶏場付近への出入りルートとなる国道や県道計三ヶ所に消毒ポイントを設置し、家畜飼料の運搬車などの消毒を始めた。

平成19年1月14日 静岡新聞


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