日差しが強くなってきた。自然の中で思いっきり体を動かしたい季節だが、日焼けはくれぐれも気をつけたい。日焼けの原因となる紫外線が皮膚の老化を促し、皮膚がんになる率を高めることは、もう常識。免疫力も低下し、白内障の一因にもなる。年齢や性別に関係なく、有害なのだ。
紫外線は皮膚の細胞のDNAを傷つけ、生命活動の基本となるタンパク質を合成するための暗号の一部を変える。ただ細胞にはこうした傷を修復する機能があり、ほとんどの場合、元に直る。
しかし、傷が多すぎると、修復できない部分が残る。すると細胞分裂でDNAが複製される際、間違ったままの暗号がコピーされてしまう。これが皮膚のシミや皮膚がんの原因となるのだ。
子供には特に危険
紫外線は特に子供によくない、と大阪市北区にあるサンクリニックの市橋正光院長(神戸大名誉教授)は警告する。
「体をつくる細胞の数は子供が約3兆個で、大人は約60兆個。子供の体では細胞分裂が盛んなので、遺伝子を狙うDNAが傷つくと、傷を持ったまま細胞が分裂する機会が増えてしまう。」
「小麦色の肌は健康の証し」という思い込みは根強い。世界保健機関(WHO)は3月、18歳未満は日焼けサロン利用を避けるよう勧告した。
WHOの推計では、1年間に世界中で6万6千人が皮膚がんで死亡し、13万2千円が皮膚がんの一種である悪性黒色腫にかかっている。悪性黒色腫の発生率は北欧で45年前の3倍、米国で30年前の2倍に急増。背景には焼けた肌への憧れや日焼けサロン利用の普及があるという。
市橋院長は「骨粗鬆症世ぼには公園で座って日光を浴びるのがいいという迷信もある。しかしその必要はない。予防に必要なビタミンDは確かに紫外線で合成されるが、実際には食べ物で十分取れている。お年よりはDNAの傷を治す能力が低いので、注意すべきだ。」と語る。
手軽な測定器も
日焼け防止にはサンスクリーン剤(日焼け止め)が有効だ。しかし利用を阻む壁もある。「日本のプールでは水が汚れるから塗ってはいけないといわれる。オーストラリアでは逆に、塗らないと入れてもらいないのだが。」(市橋院長)
紫外線強度にも注意したい。気象庁は5月から各地の強度予測や、札幌市、茨城県つくば市、那覇市での測定結果をWHOが定めた紫外線強度の指標である「UVインデックス」で公表。手軽でおしゃれな紫外線測定器もデビュー。株式会社ジオ(東京都渋谷区)が企画・開発したストップウォッチ型の「UV−MONI」で、UVインデックスとともに強度の数値も表示する。
扇谷諭社長は「医療用測定器ほどの精度はないが、微妙な数値の違いが分かるように工夫した。操作は簡単なので機械が苦手な人にもぜひ使ってもらいたい。」と語る。
現在は愛知万博(愛・地球博)の三井・東芝館で協賛価格3680円で販売中。問合せは販売元のアーキウェブ<電03-3568-3055>へ。
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