コエンザイムQ10に抗酸化作用
軽症心不全の薬だったコエンザイムQ10が健康補助食品として注目を集めている。国内では150社がさまざまな製品を売り出している。約25年間、コエンザイムQ10を使ってきた浜松医科大学保健管理センターの永田勝太郎講師(心身医学)は活力増強や抗酸化作用などを強調する。
コエンザイムQ10人間の生体を構成している六十兆の細胞一つ一つが正しくエネルギーを生産できるよう働いている補酵素の一つ。代謝活性を高めるとともに、体内で活性酸素による細胞の傷害を防ぐ抗酸化作用、血流を良くする血行動態改善作用などが知られる。
コエンザイムQ10は、ヒトのカラダ自身で作るとともに、イワシ、サバ、ウナギ、肉類、ホウレンソウ、キャベツ、ブロッコリーなどの食品に含まれ、毎日摂取している。コエンザイムQ10の体内血中濃度は年齢とともに減少する。特に心臓では二十代に比べ、八十代では半減する。
このため、コエンザイムQの健康食品が老化防止に効果があるとして欧米では広く使われてきた。コエンザイムQは日本の進んだ発酵技術によって生産されるため、コエンザイムQを量産する日本の企業が世界に原料として輸出している。
漢方で「体力や気力をおぎなう薬」を補剤と呼び、永田講師はコエンザイムQを「体の代謝を高め、心臓からの血流を増やして元気にさせる作用」から「究極の補剤」としている。永田講師は26年間に20万人以上に使用しているが、動悸を訴えた人が6例、下痢をした人が2例、吐き気が1例と副作用はほとんどない、という。
また、永田講師は標準治療では手だてがないとされた、ガン末期患者にコエンザイムQと漢方の飲み薬を処方し、さらに、自己目標を見つけてもらうよう心理療法を併用した。1988年からの10年間で患者28人(平均年齢68歳、男性8人、女性20人)に実施した。
この結果、余命6ヶ月未満とされていた患者が平均六例については、ガンが自然退縮した、という。4週間で痛みが和らぎ、食欲も回復、QOL(生活の質)が大幅に向上している。しかし、健康補助食品は薬でないため、根拠は不十分であり、過度の期待は避けなければならない。永田講師は「コエンザイムQ10の魅力」を出版、質疑応答方式でコエンザイムQの疑問について詳しく説明している。
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