健康情報
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2008年 /2009年

有機農産物 店舗6%に表示違反
小売店やスーパー 農水省、初の全国調査

日本農林規格(JAS)法で農薬や肥料の使用が厳しく制限されている有機農産物をめぐり、基準を満たないのに「有機」「オーガニック」などと違法に表記して販売しているスーパーなどが全国で6%に上ることが19日、農林省の調査で分かった。

 有機農産物検査認証制度の表示規制が始まった2001年以来、同省の本格的な全国調査は初めて。札幌市で11月開かれた消費者を対象としたシンポジウムで明らかにした。

 農水省は7月から9月にかけ、全国の小売店やスーパー約一万店舗を対象に調査。うちコメや野菜の有機農作物を扱うのは約千店舗あり、60店舗前後で表示違反が見つかった。納豆など加工品は対象から外した。

 新制度導入で「有機農産物」と表記するためには認証を受け、認定マークをつけることが義務付けられた。しかし、今回の調査では、制度を知らないホウレン草農家が自らの基準で栽培した作物を「有機」として出荷したり、認定マークのない農作物なのに小売店が「有機」と表示して並べたりしていたケースがあった。

平成15年11月25日 静岡新聞


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発がん抑制で注目 β-CRP 
温州みかんに多量に含有 静岡発 商品化へ

 温州みかんに多く含まれる「β-クリプトキサンチン(β-CRP)」が、学術研究から産業利用の段階を迎えている。β-CRPは発がん抑制作用が認められ、他の機能の研究も進む素材。富士製粉(静岡市)がみかんジュースの未利用残さいの粉末化にめどをつけ、来春にも食品新素材として商品化する。29日には独立行政法人果樹研究所がβ-CRPに関するシンポジウムを都内で開き、各機関の研究者が効果や利用研究の成果を発表する。

 1998年に農水省果樹試験場カンキツ研究部(静岡市)が、県内特産の温州みかんに多量に含まれ、健康増進に期待できると発表し、注目を集めた。同研究部は動物実験などでがん細胞の発生抑制効果を確かめた。また、県立大の山口正義教授は今年6月、骨代謝調節機能や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防の効果を見出した。

 富士製粉はβ-CRP成分の鮮やかな橙色と柑橘系の香りに着目。みかんジュースの製造工程から出る未利用資源の一部に、特に高濃度のβーCRPが含有することを発見した。ペースト化したβ-CRPを添加し、パンやラーメン、天ぷらなどの加工試験を実施した。

 どの加工試験でも橙色は鮮やかに発色。風味も残り、人によっては嫌なにおいがマスキングされる効果が明らかになった。同社は商品化に向け、より使いやすい粉末加工法の開発を進め、「静岡ならではの新素材を発信していきたい」(武政亮佐常務・研究開発部長)としている。

 産業利用ではこのほか、静岡工業技術センターが2000年からプロジェクト研究で利用を検討。β-CRPを多く含んだ卵を生ませる飼料に利用できることが分かった。愛媛県内の飲料メーカーはみかんジュースに混ぜ、コクととろみを出している。シンポジウムでは山口教授、果樹研究所の矢野昌充上席研究官らが講演し、富士製粉の研究者が食品素材としての幅広い使用例や可能性を報告する。

平成15年9月30日 静岡新聞


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健康補助食品で注目
イワシなどに含まれる 老化防止効果も

コエンザイムQ10に抗酸化作用

 軽症心不全の薬だったコエンザイムQ10が健康補助食品として注目を集めている。国内では150社がさまざまな製品を売り出している。約25年間、コエンザイムQ10を使ってきた浜松医科大学保健管理センターの永田勝太郎講師(心身医学)は活力増強や抗酸化作用などを強調する。

 コエンザイムQ10人間の生体を構成している六十兆の細胞一つ一つが正しくエネルギーを生産できるよう働いている補酵素の一つ。代謝活性を高めるとともに、体内で活性酸素による細胞の傷害を防ぐ抗酸化作用、血流を良くする血行動態改善作用などが知られる。

 コエンザイムQ10は、ヒトのカラダ自身で作るとともに、イワシ、サバ、ウナギ、肉類、ホウレンソウ、キャベツ、ブロッコリーなどの食品に含まれ、毎日摂取している。コエンザイムQ10の体内血中濃度は年齢とともに減少する。特に心臓では二十代に比べ、八十代では半減する。

 このため、コエンザイムQの健康食品が老化防止に効果があるとして欧米では広く使われてきた。コエンザイムQは日本の進んだ発酵技術によって生産されるため、コエンザイムQを量産する日本の企業が世界に原料として輸出している。

 漢方で「体力や気力をおぎなう薬」を補剤と呼び、永田講師はコエンザイムQを「体の代謝を高め、心臓からの血流を増やして元気にさせる作用」から「究極の補剤」としている。永田講師は26年間に20万人以上に使用しているが、動悸を訴えた人が6例、下痢をした人が2例、吐き気が1例と副作用はほとんどない、という。
 また、永田講師は標準治療では手だてがないとされた、ガン末期患者にコエンザイムQと漢方の飲み薬を処方し、さらに、自己目標を見つけてもらうよう心理療法を併用した。1988年からの10年間で患者28人(平均年齢68歳、男性8人、女性20人)に実施した。

 この結果、余命6ヶ月未満とされていた患者が平均六例については、ガンが自然退縮した、という。4週間で痛みが和らぎ、食欲も回復、QOL(生活の質)が大幅に向上している。しかし、健康補助食品は薬でないため、根拠は不十分であり、過度の期待は避けなければならない。永田講師は「コエンザイムQ10の魅力」を出版、質疑応答方式でコエンザイムQの疑問について詳しく説明している。

平成15年9月22日 静岡新聞


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粉じん濃度高い居酒屋
受動喫煙を減らす努力を

 五月から施行された健康増進法では、公共施設において利用者が他人のたばこを吸わされないように防止対策を講じる努力義務が課された。しかし飲食店の多くは喫煙者中心で、喫煙や分煙をしていない店内では法定基準の粉じん濃度(空気の汚れの指標)を大きく上回っていることが分かった。
 調査したのは東京大学大学院医学系研究課院生の中田ゆりさんと産業医科大学産業生態科学研究所の大和浩助助教授。今年一月から三月にかけて都内の飲食店五十店を「全面禁煙」「完全分煙」不完全分煙」「時間分煙」「自由分煙」の分煙対策別(各十店)に粉じん計を使って計測した。
 その結果、全面禁煙のコーヒー店では、厚生労働省が事務所衛生基準規則で定めた粉じん濃度が法定基準値の1立方メートル当たり0.15ミリグラム以下を下回る平均0.01ミリグラムだった。
 これに対して喫煙が自由な居酒屋では最高2.73ミリグラムと基準の18倍、平均でも0.71ミリグラムと5倍近くに上った。同じフロアで禁煙と喫煙に分煙した居酒屋では喫煙席で平均0.62ミリグラムと4倍以上、禁煙席でも同0.42ミリグラムと約3倍の粉じんを検出した。原因は換気扇の位置が悪く外に煙が出ず、部屋の空気がかくはんされるためだ。
 また、一階を喫煙、二回を禁煙としたファーストフード店やコーヒー店では煙が階上にのぼり、二階の喫煙席が基準の倍以上の粉じんが検出されたのに対して一階が微量にとどまるなど逆転現象が起きていた。
 中田さんは受動喫煙を減らすために次のようにアドバイスする。
 まず、全面禁煙の店を選ぶ。そうでない場合には空気が完全に遮断できる個室を選ぶ。また分煙の店でたばこの煙が不快だった場合には店長にその旨を告げる、飲食店を監督する最寄りの保健所に訴えることも重要だ。
 「喫煙率は約三割にもかかわらず、飲食店はいまだに喫煙者中心の経営だ。未成年者や妊婦、ぜんそく患者など多く利用する場所なので店だけに対策を任せず、利用者も分煙や喫煙を求める声を積極的にあげるべき」と強調する。
平成15年7月5日 静岡新聞


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みそ汁1日3杯飲めば乳がん半減
厚労相、10年間発生率調査

 みそ汁を1日に3杯以上飲むと、乳がんの発生率が半分近くに下がる-。こんな調査結果を、厚生労働省研究班(班長:津金昌一郎国立がんセンター臨床疫学研究部長)がまとめ、18日付の米国立がん研究所雑誌で発表した。

 大豆に含まれるイソフラボンという成分の働きと考えられ、摂取量が多いほど、乳がんの予防効果が高い傾向があった。ただ、みそ汁の飲みすぎは高血圧や胃がんの危険因子となる塩分の取りすぎにつながり、研究班は「大豆製品一般に同じ効果があると考えられ、バランスの良い摂取を」と呼びかけている。

 研究班は、岩手、秋田、長野、沖縄の4県の40から59歳の女性約2万人を10年間追跡調査し、大豆製品と乳がんの発生率との関係を調べた。その結果、みそ汁の摂取量と乳がん発生率の間には相関関係が見られ、1日1杯以下の人に比べ、2杯飲む人は26%、3杯以上飲む人は40%も発生率が減少していた。特に閉経後の女性では、ガン抑制効果がはっきりした。

平成15年6月18日 静岡新聞


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電磁波、子供に悪影響
科技庁調査 脳腫瘍の危険性上昇

一部の家電製品や高圧送電線から出る超低周波電磁波レベルが高い環境で生活する子供は、脳腫瘍発症の危険性(リスク)が上昇するとの研究結果が6日、文部科学省のホームページに公開された。

 科学技術庁(当時)が1999年度から3年で進めた国内初の全国調査で、今回が最終報告。国立環境研究所や東京女子医大などがまとめた。際のこのタイプの電磁波が高い環境で暮らす子供は少数だったため「他の要因が影響した可能性が残る」としたが、関連性が示されたことで、電磁波の低減対策が求められそうだ。

 脳腫瘍の調査対象は15歳未満の子供で、健康な約100人、脳腫瘍患者約60人の子供部屋の電磁波を一週間測定。これに家庭全体の電磁波の強さの平均値、家電製品の使用状況、部屋から屋外の送電線までの距離などを加え統計処理した。この結果、超低周波電磁波が通常の3倍以上にに当たる0.3マイクロテスラ以上の部屋で暮らす子供は、発症リスクが平均で約10倍になった。また、患者5人と健康な1人の計6人の部屋が0.3マイクロテスラ以上だった。

平成15年6月7日 静岡新聞


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マグロやカジキから水銀摂取
妊婦らに勧告検討へ

 厚生労働省は21日までに、魚類から摂取する水銀による人体への影響を防ぐため、欧米の一部の国が実施しているような勧告を、日本でも実施する必要があるか、検討する方針を決めた。

 マグロやカジキ、カサゴなど日本人になじみの深い魚について、同省が実施した調査結果を、6月に開かれる薬事・食品衛生審議会の部会に報告。摂取による危険性が高い、妊婦らに対する具体的な呼びかけが必要かを議論する。魚類に蓄積する水銀のほとんどを占め、水俣病の原因物質でもあるメチル水銀が、胎児や乳児の精神発達などに影響を及ぼすという指摘があり、欧米では妊婦や授乳期の女性たちに摂取を控えるよう、勧告が出ていることを受けた。

 旧厚生省は1973年、総水銀とメチル水銀に暫定規制値を定めたが、この数値は回遊魚であるマグロやカジキなどには適用されなかった。

平成15年5月21日 静岡新聞


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紙コップ,ティーバック 紙製品に環境ホルモン
大阪の研究所検査で判明

 紙コップやティーバックなどの紙製品に環境ホルモン作用や発がん性の疑いのある物質が含まれていることが大阪市立環境科学研究所の調査で7日までに分かった。同研究所は「人体に影響する濃度ではない」としているが、紙製品の環境ホルモン溶出については規制がなく、今後議論になりそうだ。同研究所は、新パルプ製品16品、再生紙製品12品で、エタノールに溶け出す微量物質を調べた結果、環境ホルモンの疑いのあるビスフェノールA(BPA)が新パルプ製品13品から1グラム当たり最高360ナノグラム(ナノグラムは10億分の1グラム)、再生製品9品から最高で26000ナノグラム検出された。
 再生紙には感熱紙の原料成分が含まれ、同研究所はこれが原因ではないかとみている。新パルプ製品の原因物質は不明だが、製造過程で使われる着色料などが原因の可能性があるとしている。
 また、再生紙製品からは1グラム当たり最大12000ナノグラムの、発がん性が疑われるベンゾフェノン類が検出され、、同研究所は原料パルプに含まれるインクが原因の可能性があるとしてい

紙容器の規制ない
厚生労働省食品保険部基準課の話
これまで問題視されたことがなかったため、食品衛生法では紙容器についての規制はない。今回の調査結果を確認した上で、健康への影響がある可能性が考えられる場合は、規制を検討したい。

自主規制している
全国のメーカー66社が加盟する印刷インキ工業連合会の話
食品に直接触れる部分の印刷は、人体に害を及ぼす可能性がある29物質について使用しないよう自主規制している。食品包装以外にも規制枠を広げつつあり、有害物質の不使用を最大限に心がけている。

平成15年5月8日 静岡新聞

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治療、予防薬開発まだ
発症後一週間が分かれ目

 世界保健機構(WHO)は、新型肺炎(SARS)の病原体を新種コロナウイルスのSARSウイルスと断定したが、起源や感染性など不明な点はまだ多い。検査法の開発は見込みが立ちつつあるが、治療法や予防薬開発は時間がかかりそうだ。 症状は、38度以上の熱と悪寒、頭痛、席、呼吸困難など。短期間に重症化し、肺炎に対する抗生物質が効かず、他の病気で説明できないと新型肺炎と判断される。

 これまでの例だと、発症から1週間後が症状の分かれ目。大半の人が体力回復の治療で回復する一方、10〜20%の人は人工呼吸器が必要なほど悪化してしまう。 高齢で持病がある人が悪化しやすい。だが、香港のマンションの集団発生では、若い人も重症化し、下痢症状が多いなど新たな特徴も。致死率は6%近くに上がった。

 ウイルスが病原性を強めたとの見方もあるが、米疾病対策センターは「証拠ない」と指摘。症状の重さには、年齢や持病、喫煙の有無、体内に入ったウイルスの数などさまざまな要因が関連し、特定は難しいという。

 SARSウイルスは、従来知られていたコロナウイルスと比較すると、遺伝子の同じ部分は60%程度しかない。既知のウイルスが変異したものでなく「人に知られず野生動物などに潜んでいたものだろう」と新興感染症に詳しい山内一也東大名誉教授。起源の解明は今後の課題だ。

平成15年4月27日 静岡新聞

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カスピ海ヨーグルトはカビの菌糸

 信州大学大学院農学研究科の細野明義教授は、テレビや雑誌などで注目され手いる話題のカスピ海ヨーグルトについて「顕微鏡で調べたら乳酸菌は一切見当たらず、カビの菌糸ばかりだった。牛乳が固まるので乳酸醗酵したように見えるが、カビでネトネトしているのだろう。消費者の自己責任で食べてもらうしかない」と警鐘を鳴らしている。細野教授は日本乳業協会が2月28日に都内で開いたヨーグルトセミナーで講演し、カスピ海ヨーグルトの話題を提供。一面カビの菌糸で覆われた顕微鏡写真を示すと参加した乳業メーカーの関係者や栄養士からざわめきが起こった。

 細野教授は、醗酵乳は複数の菌でエコロジー(生態)を形作っていると指摘、「エコロジーは温度や湿度、容器形態などいろいろな要因の上に成り立つ。コーカサス地方のカスピ海ヨーグルトを、気候風土の異なる日本に持ってくると当然エコロジーは壊れる。しかも、それが身体に有益なほうに向かうとは考えにくい。また、市販のヨーグルト製造機にもいえることだが、醗酵乳は通常、複数の菌を使用するため、何度も繰り返し作ると強い菌が弱い菌を抑えつけ、本来の良さが失われてしまう」との見解を示した。

 細野教授が調べたカスピ海ヨーグルトからはすべてカビの菌糸が見つかったが、「偶然の可能性もある。だが、どこかで汚染し、そうしたものが出回っているのだろう。行政や業界が研究を重ね、健康に良いという成果を積み上げてもひとつのアクシデントがすべてを壊してしまう。何かが起こってからでは遅い」と述べた。

平成15年3月5日 日刊酪農乳業速報より

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わさびの機能性 緑茶と似た効果 健康増進に一役
木苗直秀静岡県立大教授

抗菌作用 血栓予防 発がん抑制
抗菌作用が解明され注目が集まっているワサビ。アイスクリームにソーセージなど、新しい利用法も続々登場している。そうした最新の研究と食文化を探る「日韓わさびシンポジウム」が10日、静岡市のグランシップで開かれる。実行委員長の木苗直秀静岡県立大学教授に、その効能を解説してもらった。

 私たちはそばや刺身を食べるとき、実際にその場で生わさびをすりおろし「ツーン」というにおいを感じながら口にすることが「食通」だと自負している。わさびは日本原産のアブラナ科の多年草で、あの刺激臭は絡み成分のアリルイソチオシアネート(アリル辛子油)によるものだ。

 歴史的には平安時代の本草和名(918年)に山葵の名がみられているが、最近、飛鳥時代(666年)の木簡に「委佐俾」と書かれた文字が見つかっており、古くから日本人の食材として利用されていたらしい。静岡市の有東木が沢わさび栽培発祥の地とされており、その後、伊豆や御殿場など県内各地での栽培が盛んになっていった。

 江戸時代になると人々は刺身や寿司を食べるようになり、わさびが魚のうまさの引き立て役とともに食中毒や寄生虫の防除に一役買っていたものと思われる。現在、主として根茎や葉、茎がわさび漬け、しょうゆ漬け、菓子、せんべい、パンの製造などに用いられ、さらにアリルイソチオシアネートは抗菌グッズにも利用されている。

 根茎をすりおろすと、配糖体であるシニグリンがミロシナーゼにより加水分解を受けて、アリルイソチオシアネートのほか数種の辛味成分が生成する。従来、わさびの効用としては食欲増進、ビタミンB1の合成促進、ビタミンCの安定化、抗菌、抗変異原作用、鎮痛効果などが知られている。近年、沢わさびについて積極的に研究が進められ、いくつかの新しい機能性が見出された。

 @新興細菌に対する抗菌性=腸管出血性大腸菌O157や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの要因の一つとされるピロリ菌に対する抗菌作用、A血栓形成抑制=血小板の凝集を抑制して血栓を予防、B発がん抑制=胃がん、肺がん、乳がん、皮膚がん細胞に対する増殖抑制作用、などが相次いで見つかった。

 われわれは沢わさび、西洋わさびの根茎、中国わさびの根茎、茎、葉を用いて各種生物活性を比較検討し、抗酸化性、ラジカル捕捉活性、活性酸素消去作用、変異原性抑制作用、染色体異常抑制作用、糖タンパク質縮合反応抑制作用などを明らかにしている。

 また、緑茶と類似した多くの効能が見出されてきたので、健康の保持・増進に有効な食品として次第に注目を浴びるようになってきた。10日のシンポジウムでは午前中に沢わさびの「歴史と食文化」、午後は「沢わさびの機能性」についてそれぞれ基調講演とパネルディスカッションが行われる。昼食でわさび弁当を、懇親会には生わさびの味覚を楽しむ。当日は多くの人たちと沢わさびを学び食してみたい。

平成15年3月5日 静岡新聞

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70年代生まれ9割がアレルギー体質
衛生改善が背景か

 ダニやスギ花粉などでアレルギーを起こしやすい体質の人が、1970年代に生まれた人では約9割に上ることが、斎藤博久・国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部長らの調べで24日までに分かった。 アレルギー患者が多いニュージーランドなど海外でも、報告は6割台にとどまっており、今回の数字は世界的にも例がないほどの効率だという。

 斎藤部長は「衛生的な環境で乳児のほうがアレルギーになりやすいとの仮説が、最近注目されている。日本では70年代に乳幼児を取り巻く衛生環境が劇的に改善しており、それが今回の結果の背景にあるのではないか」と話している。

 調査は、71年1月から80年3月までに生まれた慈恵医大(東京)の学生ら、計258人から血液を採取。ダニやスギ花粉などアレルギーの原因となる計14種類の抗原物質に対し「IgE]と呼ばれる抗体を持っているかを調べた。この抗体が多いと、アレルギーを起こしやすい体質と判断できる。

 いずれかの抗体に対して抗体を持つアレルギー体質の人は222人(86%)。生まれ育った場所が人口百万人以上の大都市だった人では、その割合は92%に達し、中小都市出身者の80%を上回った。

 医療関係会社の社員約50人でも同じ検査をしたところ、70年代生まれでは学生と同様、88%がアレルギー体質だったが、50-60年代生まれでは44%にとどまった。

平成15年2月25日 静岡新聞

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大豆食品で骨粗しょう症予防
女性ホルモンと同様の働き

 寝たきりになる原因に骨粗しょう症による骨折が上位を占めている。国立健康栄養研究所・食品成分機能表示研究室長の石見桂子さんは「骨量が急減する閉経後の女性は、自覚症状がないため骨折して初めて深刻さが分かる。予防には大豆食品の摂取とウォーキングなどを組み合わせると有効」と助言する。 特に50歳代以降、閉経後の女性は過剰な骨破壊を抑える女性ホルモン、エストロゲンの分泌が減少するため骨粗しょう症になるリスクが高くなる。

適度な運動が必要
最近このエストロゲンに似た栄養素「イソフラボン」が大豆に多く含まれていることが分かり、注目されている。エストロゲンと同じように骨破壊を抑え、カルシウムの骨への吸着を促進する働きがある。しかもエストロゲンそのものではないので、女性ホルモン補充療法で指摘される副作用もない。
 イソフラボンの必要摂取量は一日あたり40ミリグラムで、納豆なら一食分(60ミリグラム)で摂取できる。また厚揚げ、油揚げ、豆乳、豆腐、みそなど大豆加工食品にも多い。また、栄養機能食品(サプリメント)の中にはイソフラボン含有のものも増えているので利用するとよい。
 カルシウムやイソフラボンを摂取しても骨に刺激を与えなければ、骨量は増えないので、適度な運動も欠かせない。運動量としては週に三回、45分間、早足(時速5〜6キロ)のウォーキングを目安にする。骨折しやすい大腿骨頚部(足の付け根)に刺激が伝わるようにかかとからしっかり着地するのがポイントだ。
平成15年2月7日 静岡新聞

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食品の1割、表示違反
専門店は半数以上 総務省が改善勧告

務省は17日、食品表示について行政評価監視を実施した結果、食品の約1割で、日本農業規格(JAS)法、食品衛生法で義務付けられた表示が守られていないとして、農水省と厚生労働省に指導を徹底するよう勧告した。
 総務省は、昨年4月から今年1月にかけて全国548店舗の食品を調査。生鮮食品では92857点のうち、11.5%(10708点)が原産地を明示しないなど、JAS法の品質表示基準に違反していた。百貨店とスーパーを除く専門店(250店舗)だけで観ると、53.3%の食品が表示違反だった。
 また、加工食品の表示では、JAS法違反が9.1%、食品衛生法違反が1.6%、有機農産物では、10.8%が有機を表示するのに必要な「有機JASマーク」がなかった。適正な表示をしていない理由として、17.1%の店舗が「表示制度を知らない」などとしている。
平成15年1月17日 静岡新聞

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02年人口推計 赤ちゃん誕生最少を更新
離婚・・・1分48秒に一組

2002年に生まれた赤ちゃんは105万6千人で01年より1万5千人減少、2年連続で過去最少を更新する見通しになったことが31日、厚生労働省の人口動態統計・年間推計で分かった。結婚したカップルも激減する一方、離婚は過去最多となり、少子化傾向に拍車が掛かった。数字は、02年1月から10月まで人口動態統計を基に厚生労働省が推計した。
 出生数が減少した結果、人口千人当たりの出生率も9.2人となり、前年の9.3人を下回った。逆に死亡率は97万8千人と前年より8千人増え、人口千人当たりの死亡率は0.1上がって7.8人。
 出生率から死亡率を引いた自然増加数は過去最少の17万8千人だった。死因はがんがトップで30万4千人。
 
 結婚したカップル数は75万5千組。21世紀婚やミレニアム婚の影響があった前年より4万5千組も減った。婚姻件数の減少を背景に離婚件数は伸びが鈍ったものの、前年を6千組上回る最多の29万2千組となり、人口千人当たり2.31組と過去最高を更新した。
 発生間隔をみると、02年は27秒に1人が生まれ、32秒に1人が亡くなり、42秒に1組が結婚して、1分48秒に1組が離婚した計算。出生は前年と同じ、死亡は1秒、離婚は2秒短くなり、結婚は3秒長くなった。

平成15年1月1日 静岡新聞


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