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医療短信
グァバ茶に血糖値抑制効果


特定保健用食品として市販されているグァバ茶を飲むと、食後の血糖値が抑制されるとした研究結果を、石橋医院(東京都世田谷区)の石橋健一院長らがまとめた。

 石橋院長らは、入院加療中の2型糖尿病患者20人を対象に
@インスリンなど従来療法
A従来療法と糖尿病治療薬ボグリボースの併用
B従来療法と食事中のグァバ茶200ミリリットル飲用
で、食事2時間後の血糖値を比較。従来療法だけの場合に比べ、ボグリボース併用の場合は約17%、グァバ茶飲用の場合は約11%低かったという。

 石橋院長は「グァバ茶の抑制効果はボグリボースより低いが、健康保険上ボグリボースが処方できない境界型の治療の選択肢になりうる。2型糖尿病患者には、医薬品の補完あるいは代替療法として期待できる」としている。

静岡新聞 平成16年12月20日

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「食に不安」97%
ネットモニター499人に県が調査

 県は3日、県政インターネットモニター499人に対して行った「食の安全性に関する意識調査」の結果をまとめた。「食の安全性に不安を感じる」との回答が96.9%を占め、過去2年の調査(いずれも98.0%)と同様、県民の不安が依然として大きいことをうかがわせた。

 調査は11月12〜24日に実施し、回答者は452人(90.6%)だった。食品表示については「信頼できる」との回答が63.7%で前回の38.4%から大幅に増えたが、行政に一層の監視、指導を求める意見なども目立った。

 トレーサビリティー(生産履歴の追跡)を「必要」とする回答は78.6%を占め、消費者が生産情報だけでなく、安全管理の情報開示も要望していることが示された。

 牛海綿状脳症(BSE)の全頭検査については「必要」が84.1%を大半を占めた。 

静岡新聞 平成16年12月4日

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喫煙者率、初めて3割切る
増税や規制影響か〜JT調査 9年連続で最低更新〜

 成人でたばこを吸う人の割合は6月時点で、前年比0.9ポイント減の29.4%と、9年連続で(最低を更新)、初めて30%を割り込んだことが19日日本たばこ産業JTの調査で分かった。今年の調査は全国の男女計16000人を対象に行い、10875人(68%)から回答を得た。

 男女別では男性が前年比1.4ポイント減の46.9%と13年連続減少、女性は0.4ポイント減の13.2%で3年連続減少した。これを基に喫煙者人口を推計すると、男性が前年比59万人減の2328万人、女性が17万人減の704万人になる。喫煙者率が最も高かったのは、男女とも30代で男性が56.3%、女性が21.3%。地域別では男女とも北海道が最も高かった。

 JTでは喫煙者の減少について「健康に対する意識が高まり、規制の強化や、昨年のたばこ税の増税などが影響しているのではないか」としている。

静岡新聞 平成16年10月20日

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目標遠く“黄信号”
肥満、多量飲酒・・・数値悪化

 2010年までの健康づくり10ヵ年計画「健康日本21」で厚生労働省があげた目標に対し、肥満の割合や多量飲酒する男性の割合など少なくとも20の数値が計画策定時より悪化していることが19日までに、同省の集計で分かった。

 同省は05年度中に計画の中間評価を行うが、計画の折り返し時点で目標達成に早くも“黄信号”が出た格好だ。健康日本21は国民の食生活や運動、がんなど70項目について110余りの目標値を設定。厚労省はそのうち直近の国民栄養調査などで判明した暫定値を集めた。

その結果、20-60代の男性のうち肥満の割合は24.3%から15%以下に減らすのが目標なのに、29.4%と逆に増えた。46-60代の女性の肥満率も25.2%から26.4%(目標値20%以下)に増えていた。スリム志向が強い20代女性の「やせ」の割合は23.3%から26.9%(目標値15%以下)に。日本人の体形は両極化が進み健康的な姿から遠のいている。

 このほかの目標値から遠のいたのは、子宮ガンの検診受診者数など。

静岡新聞 平成16年10月20日

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アロマセラピーで心臓もリラックス
ラベンダーの香り“ほっ”

 香りをかいで心身の健康を図るアロマセラピー(芳香療法)に、新機能を改善する効果があることが、千葉大の小室一成教授らの研究でわかった。薬に頼らず、狭心症患者らの症状緩和が期待できるという。13日から京都市で始まる日本心臓病学会で発表する。

 運動をした場合、心臓に酸素や栄養を送る「冠動脈」の血流量を増やす必要がある。健康な人は4倍前後に増やせるが、狭心症患者は2倍以下にとどまり、激しい運動をすると心筋梗塞(こうそく)で死に至る恐れもある。

 研究では、健康な男性11人(平均34.4歳)を対象に@30分間の安静後Aラベンダーの花から抽出したオイルを温め香りを拡散させた部屋で30分安静にするアロマセラピー後にそれぞれの冠動脈を拡張する薬剤を投与し、運動をした後と同じ状態にして血流が何倍になるかを比較した。

 その結果、安静にしただけでは平均4.5倍前後だった血流量が、アロマセラピーの後は平均5.3倍に上昇。ストレスの指標となる「コルチゾール」という血中ホルモンも3割程度減少していた。小室教授は「アロマセラピーによるリラクセーションは体に良いというイメージはあったが、心臓にも良いことがデータで裏付けられた」と話している。

静岡新聞 平成16年9月11日

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2割の子に耐性ウイルス
東大医科学研教授ら調査 インフルエンザ薬効果減

 インフルエンザ治療薬として広く使われているリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)の投与を受けた子どもの約2割で、ウイルスが耐性を示すようになり、同薬が効きにくくなることを東大医科学研究所の河岡義裕教授らが突き止め、28日付の英医学誌ランセットに発表した。従来のデータに比べ、耐性が高い割合でできることを示す結果という。

 河岡教授らは2002年と03年に同薬で治療を受けた生後2ヶ月から14歳までの50人を調査した。18%に当たる9人から、同薬が作用する部位の遺伝子に変異が起きたインフルエンザウイルスを分離。これらのウイルスは、同薬に対する耐性を獲得していることが分かった。

 今年4月の日本感染症学会で同教授らは、約30%の子どもから耐性ウイルスを検出したと報告した。今回、調査対象を増やした結果、割合が下がった。しかし、同薬に対する耐性ウイルスができる割合は従来、子ども(1-12歳)で約4%とされていたのに比べ、依然高い数字だという。

 調査対象はインフルエンザに初めて感染した子どもが多く、治るまでの期間が長かったため、耐性が出やすくなったと考えられるとしている。

静岡新聞 平成16年8月28日

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新型インフルエンザ
流行なら死者21万人 米報告書案

【ワシントン26日共同】
出現すれば世界的大流行が起きると懸念される新型インフルエンザについて、米政府の対策の基本方針をまとめた報告書案を米厚生省が26日発表した。

 新型の流行が起きれば全米で最大約21万人が死亡、同約73万人が入院すると試算した上で、ワクチン製造能力の拡大と製造期間の短縮、抗インフルエンザ薬の備蓄などを、対策の優先課題としてあげた。

 また、人や動物でのインフルエンザ流行の監視を強化、迅速なワクチン製造のため、流行が予想されるウイルスをワクチン株として準備する。

 それでも流行時にはワクチンや治療薬の不足は避けられないため「特定集団への優先的なワクチン接種」などが必要としたが、対象は「医療従事者」などと例示したにとどまり、具体的な接種順位は示さなかった。

新型インフルエンザ
人で過去に流行したインフルエンザウイルスと、表面のタンパク質が大きく異なるウイルスが起こすインフルエンザ。鳥や豚のウイルスが変異したり、人のウイルスと遺伝子の交雑を起こして出現するとされる。大半の人は免疫を持たないため重症化しやすい。1918年に出現した世界で約4000万人が死亡したスペイン風邪のほか、57年出現のアジア風邪、68年の香港風邪が知られ、「次にいつ出現してもおかしくない」と指摘されている。日本の厚生労働省も委員会を設置して対策を練っている。

静岡新聞 平成16年8月26日

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鳥インフルエンザ 豚からウイルス検出
中国 人への感染、研究者警告

 中国広東省などの豚からH5N1型とH9N2型の鳥インフルエンザウイルスを検出したと、同国のハルビン獣医研究所の研究者らが中国予防獣医学報に論文を発表し訂たことが23日、分かった。この研究者たちは、北京で20日開かれた会合でも同様の発表をしたが、詳細な状況が明らかになったのは初めて。

 豚への鳥インフルエンザ感染が学術的に確かめられたことで、日本の研究者たちからは「豚の体内でウイルスが変異し、人に感染する新型インフルエンザになる恐れがある」として、早急な監視を求める声が出ている。

 論文によると、2002.03年に中国各地で、豚の血清を採取して検査。02年は、遼寧省、広東省、山東省と重慶市で採取した血清から、H9型に対する抗体の陽性反応が出た。1.9-7.3%だった。03年に採取した血清ではH9型の反応は出なかったが、広東省と福建省でそれぞれ4.7%と8.2%の血清でH5型の陽性反応がでた。

豚への感染 公式に否定 中国農業省

【北京23日時事】

 中国農業省は23日、中国の研究者が同国に豚から鳥インフルエンザウイルスが検出されたと報告したことについて、ホームページ上で「豚への感染は発見されていない」として事実関係を公式に否定した。

 

静岡新聞 平成16年8月24日

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デュポンへの処分を検討
テフロン関連物質

【ワシントン9日共同】

 米科学大手のデュポンが、焦げ付かないフライパンなど同社のフッ素樹脂「テフロン」加工製品の製造過程で使用する化学物質の人体や環境への危険性について、20年以上にわたり報告を怠っていたとして、米環境保護局(EPA)は8日処分を検討中だと発表した。同社は物質の安全性を強調、「EPAの主張には法的根拠がない」として、近く意義を申し立てる方針。

 この物質はパーフルオロオクタン酸塩(PFOA)と呼ばれ、フッ素樹脂の製造に不可欠な補助剤。EPAによると、動物実験で脳の発達などへの影響が報告されている。EPAは、デュポンが1980年代に同社工場従業員の妊婦の血液からPFOAが見つかったことや、90年代に工場周辺の水道水で同社の自主基準を超える量のPFOAが検出されたことなどを知りながら、EPAに報告しなかったと指摘した。

静岡新聞 平成16年7月9日

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浴室カビ→せっけんとは無関係
主因は皮脂とあか入浴後、速やかに換気を

 浴室のかびの主因は、入浴時に体から出た皮脂やあかだった。ライオン(東京都)は、風呂場の壁に出るカビの原因について、今まで考えられていたせっけんかすは関係なく、体の皮脂などであることを突き止めた。この研究結果は、このほど東京で開かれた「坊菌防黴学会第31回年次大会」でも発表された。

 同社ハウスホールド第二研究所(東京都)などが、一般家庭に浴室の壁についた汚れを分析。その成分は、皮脂の主成分であるトリグリセリドが約6割を占め、赤などの皮膚の老廃物であるタンパク質のケラチンが約2割、せっけんかすに含まれる脂肪酸カルシウムが約1割だった。

 これらの成分にかびを接種したところ、皮脂とあかでは菌糸が成長したが、せっけんかすなどでは育たなかった。同社は「従来の一般的な考え方では、かびの栄養源としてせっけんかす、皮脂、水分などが混ざった物が原因とされていたが、実際は皮脂とあかであることが科学的に分かった」と説明。せっけんの泡が壁に付くと、皮脂やあかが壁に蓄積し、これがかびに栄養を与えることになるのだという。

 浴室内は壁の天井付近、浴槽のふたなど、泡が飛び散らないところにもかびが生えやすいが、同社はこれについても実験。その結果、浴槽でお湯につかると皮脂が湯面に浮き、これが湯気とともに浴室上部の壁、天井に付着することを確認した。

 かびは、汚れ、70%以上の湿度、20度以上の温度の三条件がそろうと活発に増殖する。防止するためには、入浴後速やかに換気を行い、湿度を取り除くことが肝心だ。

静岡新聞 平成16年7月7日

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学校の自販機の中身 児童肥満を助長

  児童の肥満が社会問題化する中、学校の児童販売機は、高脂肪のスナック菓子や糖分過多のソーダやジュースがあふれている実態が明らかになった。

 十三歳から十七歳の青少年を対象のギャラップの全米調査では、23%が毎週大量のスナック菓子を食べる。毎週いくらか食べるは61%、ほとんど食べないは14%、67%はスナック菓子やソーダを主に学校内の自販機で買っていると回答している。

  「公共利益の科学のためのセンター」(本部ワシントン)によれば、キャンデーやクッキー、ポテトチップス、糖分を大量に含む清涼飲料水が中学、高校の自販機を占領している。全米24州の251校の自販機調査では、清涼飲料水のうち70%は糖分の多いソーダ類、果汁50%以下のジュース、アイスティー、スポーツドリンク。ところが、ダイエット飲料は14%、ミネラルウォーターは12%、牛乳は5%だった。

 またスナック菓子では42%がキャンデー、25%がチップス、13%がクッキー。低脂肪のチップスやプレッツェルは5%、クラッカー類は3%、シリアルバーは2%、低脂肪クッキーは2%に過ぎなかった。

 同センターのマーゴ・ウータン担当者は「子供の肥満問題が注目を集めている時期に、健康的な菓子が学校で選べない状況にはあきれるほかない」と語る。だが全米清涼飲料水協会の担当者は「学校で毎週ジュースを買う生徒は全体の20%以下。業界もスポーツ飲料、ダイエット飲料など広い品揃えをしている」と反論している。(ワシントン)

静岡新聞 USA TODAY 本社特約 平成16年5月13日

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バイオ作物受け入れず

 小麦はバイオ作物を増やすための次のハードル。だが、遺伝子組み換え種子を生産している世界最大手のモンサントは、遺伝子組み換え小麦を人々が受け入れるにはまだ時間がかかると判断した。

 モンサントは8年間の研究のあと、同社は除草剤に耐久性もつ春小麦の開発が終盤に差しかかり、調整段階に入っていることを発表した。この小麦は雑草を枯らす除草剤の影響を受けないという。

 米国で生産されている大豆の86%とトウモロコシの46%が遺伝子組み換え処理が施された作物となっている。直接人の口には入らず、家畜のえさに使われたり、かなり精製されてトウモロコシの高果糖シロップといった添加物の原料。

 小麦は消費者の口に直接届く、最初の組み換え作物になる可能性があったのだが、“命の糧”パンにもなるため、消費者が遺伝子組み換えのパンを受け入れるかどうかが懸案となっていた。(ワシントン)

静岡新聞 USA TODAY 本社特約 平成16年5月13日

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たばこで失明の危険増大

喫煙者はたばこを吸わない人より、はるかに加齢黄斑変性症になりやすいという研究を、英マンチェスター大のチームが発表した。


 加齢黄斑変性症は、網膜中央部の非常に鋭敏な黄斑と呼ばれる部位に異常が起き、症状が進むと失明する。研究チームはオーストラリア、北米、欧州で行われた三つの研究で対象となった計1万2468人の患者を分析。たばこが加齢黄斑変性症の最大の環境要因で喫煙者の発症率は3〜4倍だった。研究チームは、喫煙者がたばこと失明の危険について無関心であり、知識の普及が重要だとしている。

平成16年 静岡新聞

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肥満で乳がん2倍に

 日本で年間3万人以上の女性にかかる乳がん。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の広瀬かおる主任研究員はこのほど開かれたシンポジウム「がん疫学・予防の最前線」で、乳がんになるリスクを押し上げる要因の一つとされる肥満について「閉経後の肥満はリスクを2倍にすることが分かった」と発表した。

 同センターが集めた約10万人のデータを分析した結果。〃研究員によると、閉経前の肥満は乳がんとは無関係だが、閉経後の肥満は乳がんのリスクを高めるだけでなく、子宮体がんにかかるリスクも2.5倍にするという。

 現在、「肥満」は体格指数(BMI)25以上を指す。BMIは体重を身長の二乗で割ったもの。体重60キロで身長1.55メートルの場合、BMIは25となる。

平成16年 静岡新聞

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主婦の9割、食の安全に関心
〜添加物などに厳しい目〜

 牛海綿状脳症(BSE)など食品への不安が続いているが、主婦の約9割が「食の安全」に関心を抱いており、手作りしたり、表示を念入りに読んだりと自衛策を講じていることが、農林中金による「『世代をつなぐ食』その実態と意識」のアンケートで分かった。

 調査は昨年11月から12月にかけて、首都圏に居住する子供を持つ30-50代の主婦500人に実施。回収率は8割だった。
 それによると、「食の安全」について「とても関心がある」と「まあ関心がある」をあわせると、89%に上る。関心の具体的な対象は、「食品添加物」(86%)、「BSE」(63%)、「遺伝子組み換え食品」(54%)が上位三位。以下「輸入食品」「残留農薬」「環境ホルモン」「加工食品」などが続く。

 では、安全な食品類のための対策はと尋ねると、「なるべく手作りにする」(61%)、「食品表示をよく読む」(57%)、「原産地を確認する(48%)気になる添加物を使っているものは利用しない(41%)など。少ないながら、「ブランド肉を利用する」や「自家農園で栽培する」もあった。
 こうした姿勢は、「これからの農畜水産物への要望」にも顕著で、「安全」が94%と断然高く、「おいしい」(67%)や「安い」(53%)を大きく上回った。「安全」は全年代で9割を超えているが、それでも「安い」は50代が47%に対し、30代は58%など家計などを考慮してか、ウエートの置き方に違いがある。

平成16年3月8日 静岡新聞

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鳥インフルエンザ 家畜伝染病予防法見直し
〜通報遅れ防止へ農水省〜

 京都府丹波町の養鶏場「浅田農産船井農場」で発生した高病原性鳥インフルエンザ問題で、農水省は一日夕方、対策本部の会合を開き、通報遅れが被害拡大を招いたことを重視、再発防止のための家畜伝染病予防法の見直しも含め対応策を検討することを決めた。鶏・卵の移動(出荷)制限による周辺農家への損失補償を制度化する方向で検討、防疫マニュアルも改訂して診断基準を見直す。
平成16年3月4日 静岡新聞

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豚からウイルス検出
鳥インフルエンザ 人に感染拡大も

【ハノイ6日共同】ハノイ近郊で、複数の豚から高病原性鳥インフルエンザのウイルス(H5N1型)が検出されたことが6日、分かった。ハノイの国連食糧農業機関(FAO)当局者や外交筋が明らかにした。

 豚には、人のインフルエンザウイルスも感染することが知られている鳥と人のインフルエンザウイルスが同時に感染した場合、豚の中でウイルスの交雑が起こって、人への強い感染力を持つ「新型インフルエンザ」として広がることが懸念されている。

 また、ベトナム中部ボーゴン村の当局者は同日、村内の農家で今月3日、豚8匹とハト15羽が突然、死ぬ事例が発生したと語った。しかし、マニラの世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局報道官は、「現時点では情報がなく、論評できない」と述べた。

 FAO当局者によるとハノイ近郊でのH5N1型ウイルスは先月下旬、豚2〜3匹の鼻の粘膜から採取したサンプルから検出。豚はいずれも、鳥インフルエンザに感染した鶏がいる農家で飼われていた。

 当局者は「鼻の粘膜からのウイルス検出は、必ずしも実際の感染を意味しない。最終確認のためには、血液検査などが必要」として感染についての断定を避けた。しかし、外交筋や専門家によると鼻の粘膜のサンプル採取は感染の有無を調べる際によく使われる手法であり、豚が感染している可能性が極めて高い。

平成16年2月7日 静岡新聞

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鳥インフルエンザ「新型」の危険性も
迫られる対策強化

(解説)高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)が人から人へと感染した疑いが出ているベトナムで6日、新たに豚から同型のウイルスが検出された。豚の中で人のウイルスと交雑が起こると、人への感染力が強い「新型インフルエンザウイルス」となる危険性があり、アジア各国政府と世界保健機関(WHO)は、一層の対策強化を迫られる。

 今後は、家禽類への感染が判明している地域でウイルスの変異を重点的に調べるなど監視を強化するとともに、豚の間で感染拡大が強く懸念される場合は、家禽類に続いて豚の処分も検討課題になりそうだ。

 人と鳥では、インフルエンザウイルスが取り付く細胞の表面の構造が異なるため、鳥のウイルスは通常、人には感染しにくい。しかし豚は体内で人と鳥のウイルスが交じる「交雑」が起き、人への世界的な大流行につながる新型ウイルスが生まれる「温床」になると警戒されてきた。

 過去に新型インフルエンザとして大流行した1957年出現の「アジア風邪」や68年の「香港風邪」のウイルスは、いずれも豚を介して発生したとみられている。(ハノイ6日共同)

平成16年2月7日 静岡新聞

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「たばこには発がん性」認識、飛躍的に広まる
食品安全委意識調査

がんの原因になる可能性が高いと感じる要因について、国の食品安全委員会が2003年に実施した意識調査で、たばこが92%と最も多く、放射線75%、大気汚染・公害73%の順になった。

 1983年に黒木登志夫岐阜大学長らが行った主婦の意識調査では、たばこは食品添加物、農薬に次ぐ3位で、20年間に、たばこの発がん性への認識が広まったことを示した。

 食品安全委の調査は同委に登録した一般の食品安全モニター470人が対象。複数回答で、4位以下は食品添加物70%、農薬67%、紫外線66%、ウイルス34%などが続いた。

 83年の調査は13項目から1つだけを選ぶ方法で、食品添加物44%、農薬24%、たばこ12%、大気汚染・公害9%、食品の焦げ4%、ウイルス1%の順。

 回答方式が違うので単純な比較はできないが、83年には0%だった放射線・紫外線が今回は上位になり、紫外線による皮膚がんの危険性などが知られてきたことを裏付けた。

 二つの調査について、黒木学長は「実際に発生しているがんの原因と、一般に認識にはまだ大きな差がある」と分析する。

 厚生労働省研究班の2002年の調査では、日本の主ながんの要因は、喫煙・飲酒、普通の食品に含まれる脂質やエネルギーの過剰摂取と運動不足、ピロリ菌や肝炎ウイルスなどの細菌・ウイルス感染とされる。

 黒木学長は「行政や研究者が、正しい情報を分かりやすく伝える工夫が必要だ」と話している。

平成16年2月6日 静岡新聞 医療ネット21

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鳥インフルエンザ 人から感染の可能性
WHO発表 越で死亡の姉妹

【ハノイ共同】世界保健機関(WHO)当局者は一日、ベトナムで1月23日に死亡した姉妹二人が高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染していたことを確認するとともに、人から人への感染だった可能性があると発表した。当局者によると、人から人への感染が確認されれば今回の流行では世界のケースで、国境を越えた大規模な流行となる恐れもある。
 ベトナムで鳥インフルエンザの死者はこれで8人となった。姉妹は23歳と30歳で、北部タイビン省に居住。1月10日に呼吸器疾患となり、13日に入院した。その前日の12日、兄が呼吸器疾患で死亡。兄の妻も病気になったが、現在は回復している。
 WHOのディッツ報道官は、姉妹の感染源について「最終的な特定はできていない」としながらも兄から感染にした可能性があるとしている。鳥インフルエンザに感染した家禽との接触などは確認できなかったという。
 地元紙によると、兄は結婚式を挙げた直後に発症。姉妹は、結婚披露宴の料理のために鶏を調理していた。
 ベトナムの検疫当局は1月28日、姉妹の死因を鳥インフルエンザ感染と発表したが、WHOが確認のため慎重に調べている。鳥インフルエンザの今回の流行ではタイで2人の死者が確認されたほか、鶏などへの感染が日本、韓国、中国などアジア各国に拡大。家禽肉の禁輸措置などで経済に大きな影響が出始めている。
平成16年2月2日 静岡新聞

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鳥インフルエンザ 世界的大流行の恐れ
新型肺炎以上の脅威

(解説)世界保健機関(WHO)が1日、ベトナムでの高病原性鳥インフルエンザの死者について、今回の流行で初の人から人への感染例の可能性を指摘。これが確認され、もし人に対する感染力も強ければ、人類にとって新型肺炎(SARS)以上の脅威といえ、世界で数千万人規模の死者が出る恐れも浮上する。尾身茂・WHO西太平洋地域事務局長は1月27日、ハノイでの記者会見で「このような、世界に拡大する高度に好戦的な鳥インフルエンザは目にしたことがない」と語り、鳥から鳥への感染を繰り返すうちにウイルスが変異し、人から人への感染力を得るのも「遠い将来の可能性ではないだろう」と警告した。
 尾身氏はさらに、「人から人に感染が広がると、世界中で数千万人が死亡する恐れがある」と指摘していた。今回、WHOベトナム事務所の当局者は、人から人への感染について「成り立ちえる説明だ」として、断定ではないことを強調している。
 しかし、鳥インフルエンザは空気感染する可能性があり、もし人から人に広がるようになれば、昨年世界各地で多数の犠牲者を出したSAESが飛沫(ひまつ)感染なのに比べ、危険性ははるかに大きい。WHOを中心にした国際的な感染防止対策が、一層緊急の課題となってきた。(ハノイ共同)
平成16年2月2日 静岡新聞

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