東北大の栗山進一助教授らのチームが、日頃から緑茶を多く飲んでいる人は脳梗塞などの循環器疾患による死亡率が著しく低く、寿命が伸びる可能性があることを確認し、このほど米国医師会雑誌に発表した。4万人を7〜11年にわたり追跡調査した結果で、県内茶業関係者は「信頼性の高い研究で、お茶の効能が実証された」と注目している。
滝昇吾県お茶室長は「人を対象にした研究として評価できる。緑茶はこれからも新たな発見が期待できる」とし、茶業団体はこうした効果をPRするポスターを制作する方針。
栗山助教授らは、1994年に40-79歳だった宮城県内に住む40530人を対象に、全体的な死亡率について11年間、病気ごとの死亡原因についていは7年間にわたり追跡調査した。
緑茶を飲む量によって4つのグループに訳、死亡率や死因を調べた結果、1日5杯以上飲む人の死亡率は、1杯未満の人に比べて男性で12%、女性で23%と共に低いことがわかった。こうした関連がより強く見られ、リスクは男性で22%、女性で31%それぞれ低下した。特に脳血管障害、中でも脳梗塞でリスク減が顕著だった。
緑茶に含まれるポリフェノールには循環器疾患やガンに対する防御作用があるとされ、細胞レベルや動物実験での成果は報告されてきたが、人間を対象にした研究は少なかった。
ただ、今回の研究ではガンに関してはリスク差は確認できなかったという。
栗山助教授は、「少なくとも動脈硬化に対しては効果がある可能性が確認できた。緑茶に含まれる有効成分を特定すれば、動脈硬化の予防、治療に応用できるのでは」と見ている。
確認のワンステップ
横越英彦静岡県大教授(食品栄養科学部)の話
緑茶が血中コレステロール低下に効果があることは動物実験では分かっているが、ヒトへの効果は予測に過ぎなかった。科学的に確認する為には、大掛かりな臨床実験の結果を待たなければならない。今回の研究成果はこうした流れの一つのステップとして評価できる。
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